住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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土地を相続したもののどうすべきか悩んでおられる方や 、毎年支払う固定資産税の負担を軽くしたいとお悩みのオーナーさまも多いのではないでしょうか。
持っている土地を活用する方法として、「賃貸住宅物件を建築してアパート経営を行う」イメージが先行しがちですが、第三者にそのまま「貸す」という選択肢も有効な手段です。
しかし、契約方法や貸し出す目的を間違えると、「思ったほど収益が上がらない」「将来、自分の土地なのに戻ってこない」といった事態を招く恐れがあります。
この記事では、土地を貸すことを検討されているオーナーさまが安心して決断できるよう、メリット・デメリットから、契約手法(普通借地と定期借地)の違い、適正な地代相場、そして注意点まで、分かりやすく解説します。
【目次】

土地を貸す最大の魅力は、手軽に始められ、オーナーさまが抱えるさまざまなリスクを低く抑えられる点にあります。ここでは、主な3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
借主(テナント)が自らの資金で建物を建築する契約(借地)や、駐車場としてそのまま貸し出す場合、オーナーさまご自身で数千万円から数億円に上る建築費を負担する必要がなく、多額の借入金(ローン)を抱えるリスクを回避できます。
なお、賃貸住宅を建築してアパート経営をはじめる際の諸経費には、建築費だけでなく「借入金の支払利息(ローン利息)」まで含めて計算する必要がありますが、土地貸しの場合はこうした資金負担を大きく抑えることができます。
昨今のように金利上昇が懸念される時代においても、ローンの返済負担増に怯える必要がないのは大きな強みです。また、年月が経つにつれて発生する修繕工事 や設備交換といった建物の維持管理費もかかりません。
土地を貸し出す契約は、事業用の店舗であれば10年から50年未満、住宅用であれば50年以上といった、非常に長期間にわたることが一般的です。
そのため、賃貸住宅物件を運用する際に不安になりがちな「退去による一時的な空室リスク」や「築年数の経過に伴う家賃の下落」に悩まされることなく、毎月定額の地代収入を安定して得ることが可能です。
得られた地代収入を、毎年の固定資産税や都市計画税といった維持費の支払いに充てることができるため、持ち出し(赤字)になるリスクが極めて低い運用と言えます。
賃貸住宅を建築してアパート経営を行う場合、入居者の募集から家賃の集金、建物の清掃、さらには夜間の設備トラブルやクレーム対応まで、多岐にわたる業務が発生します。
しかし、土地だけを貸す場合は、建物の修繕や入居者トラブルの対応、賃貸管理会社とのやり取り、草刈りなどの日常的な維持管理は、原則として建物の所有者である借主の責任となります。
そのため、遠方にお住まいのオーナーさまや、管理に時間をかけられない方、ご高齢のオーナーさまであっても、精神的・肉体的な負担を感じることなく資産運用を続けることができます。

一方で、土地を貸すことには特有の制約やリスクも存在します。決断する前に以下のデメリットをしっかりと把握し、ご自身の目的に合っているかどうかを確認することが大切です。
戸建住宅や賃貸住宅を建築して安定したアパート経営を行う場合と比べて、土地貸しで得られる収入は「地代」のみとなるため、どうしても収益性は低くなる傾向があります。
「毎年の税金の負担分を補えれば十分」とお考えの方には適していますが、より大きなリターンを求める場合や、インフレ(物価上昇)対策を重視する場合は、建物を建築して収益物件として運用するプランとの比較検討をおすすめします。
最短でも10年、長ければ50年以上の契約となるため、その期間中はご自身の土地であっても自由に使用することができなくなります。
将来、お子さまがその土地に家を建築する予定がないかなど、ご家族の長期的なライフプランに影響がないか慎重に検討する必要があります。
また、契約の途中で「まとまった現金が必要になったので土地を売りたい」と思っても、借地権がついた状態の土地(底地といいます)は買い手が見つかりにくく、売却価格も更地に比べて安くなってしまう可能性があるので 注意が必要です。
これが初心者のオーナーさまにとって最も注意すべきポイントです。
後述する「普通借地権契約」を結んでしまうと、契約期間が満了しても借主が「まだ使い続けたい」と希望すれば、オーナーさまにどうしても土地が必要だという切実な「正当事由」がない限り、更新を拒否することが難しくなります。
結果として、土地が半永久的に戻ってこない恐れがあります。

土地を貸す際のルールを定めた法律には、時代によって2つの種類が存在します。なぜ昔の地主さんが「一度土地を貸すと戻ってこない」と恐れていたのか、トラブルを防ぐためにはこの法律の違いを理解しておくことが重要です。
1992年(平成4年)7月31日以前の契約に適用される古い法律です。
マイホームを持たない借主(借りる側)の権利が手厚く保護されており、一度土地を貸すと、オーナーさまが「土地を返してほしい」と思っても非常に困難な仕組みになっていました。
1992年(平成4年)8月1日以降の契約に適用されている現在の法律です。
旧法のせいで「土地が返ってこないなら誰も貸さなくなる」という問題が起きたため、貸主(オーナーさま)の権利も守り、約束の期間が来たら確実に土地が更地で返還される「定期借地権」という新しい制度が設けられました。
これから土地を貸す方は、この新法のルールのもとで安全に契約を結ぶことができます。
現在の借地借家法において、土地を貸す契約方法は大きく「普通借地権契約」と「定期借地権契約」の2つに分かれます。目的に合わせて正しく選びましょう。
項目 | 一般定期借地 (法22条) | 事業用 定期借地権 (法23条) | 建物譲渡 特約付借地権 (法24条) |
存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
利用目的 の制限 | 制限なし (居住用・事業用 いずれも可) | 専ら事業用建物の所有 (居住用・アパート等 は不可) | 制限なし |
契約の 方式要件 | 公正証書等の 書面による | 公正証書による 契約が絶対必須 | 制約なし (口頭も可だが 実務上は書面) |
契約の 更新 | なし (特約が必要) | なし | 建物譲渡 により消滅 |
終了時の 建物の扱い | 原則として 借主が建物を 取り壊し、 更地にして返還 | 原則として 借主が建物を 取り壊し、 更地にして返還 | 期間満了時に 地主が建物を 時価で買い取る |
「将来、自分や子どもがその土地を使うかもしれない」「トラブルなく確実に土地を返してほしい」とお考えの場合は、まずは「定期借地権契約(特に一般定期借地権や事業用定期借地権)」を検討することをおすすめします。

実際に土地を貸すことを決断した場合、どのような手順で進んでいくのでしょうか。具体的なプロセスを4つのステップでご紹介します。
まずは「何年くらい貸したいのか」「毎月いくらの収入が欲しいのか」といった目的を整理します。その後、不動産会社やハウスメーカーに相談し、お持ちの土地の法的規制(建てられる建物の制限など)や周辺の需要を調査してもらいます。
専門家の調査に基づき、賃貸住宅 か、事業用物件(店舗やクリニックなど)で貸すかの方針を決めます。方針が決まったら、不動産会社のネットワークを通じて、土地を借りてくれるテナントの募集活動を開始します。
借主の候補が見つかったら、地代(賃料)の金額、契約期間、保証金、そして契約終了時の原状回復(アスファルト舗装の撤去費用をどちらが負担するか等)などについて詳細な交渉を行います。合意に至れば、事業用定期借地権の場合は公正証書を作成して賃貸借契約を結びます。
契約が完了したら、借主に土地を引き渡します。その後、借主の責任と費用において建物の建築工事が始まり、オーナーさまの口座には約束した地代が毎月振り込まれるようになります。

土地を貸す場合、地代(賃料)はいくらに設定すべきでしょうか。安すぎても高すぎても経営は成り立ちません。プロも参考にする計算の目安をご紹介します。
土地をどのように使ってもらうか(用途)によって、地代の相場は大きく異なります。
商業施設などのテナント側は収益性が高いため、住宅用と比べ高い地代が設定される傾向があります。
また、毎月の地代を計算する際によく用いられるのが、毎年支払う固定資産税と都市計画税(公租公課)を基準とする「公租公課倍率法」です。
土地を貸すだけでなく、賃貸住宅経営を合わせて検討される場合、以下の計算式を用いて収益性をしっかり比較することが重要です。
実質利回りには固定資産税などの「税金」も経費として含まれるため、手元に残る資金をより現実的に把握する指標となります。
また、金融機関から融資を受ける場合、ローンの安全性を測る指標として「DSCR(借入金償還余裕率)」も必ず確認しましょう。
オーナーさまが求める収益の大きさと、リスクの許容度に合わせて、土地を貸すか建物を建築するかを冷静に比較検討しましょう。

「事業用定期借地権」を活用して企業に土地を貸す場合、どのような借主(テナント)を選ぶかが、数十年にわたる経営の成功を左右します。
コンビニエンスストアなら概ね60坪以上、スーパー等なら100坪以上の広さが目安となります。
比較的高い賃料設定が期待できる反面、商業施設は周辺にライバル店ができるなどの競合状況や、景気の波に影響を受けやすく、数年〜十数年で契約を途中解約して撤退してしまうリスクも想定しておく必要があります。
診療科目にもよりますが、患者さま用の駐車場を含めて40坪〜80坪程度の比較的コンパクトな土地からでも検討が可能です。医療機関は景気変動の影響を受けにくく、一度開業すれば地域に根ざして20〜30年という長期にわたり安定的な経営が期待できます。
施設の種類によりますが、概ね200坪〜300坪以上のまとまった土地が適しています。地域社会への貢献度が非常に高く、近隣住民からの反対運動も起きにくいため、駅前の一等地でなくても、閑静な住宅街や落ち着いた郊外の土地で十分に需要が見込めるのが大きな魅力です。

契約後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、以下の4つの注意点をしっかり押さえておく必要があります。
「建物を建築して収益物件として運用するのは大掛かりだから、とりあえず駐車場として貸そう」と考えがちですが、税金面には注意が必要です。
土地の上に「人が居住するための建物」がないと、固定資産税が大きく下がる「住宅用地の特例」が適用されず、税金の負担が重いままになります。手元に利益を残すには、建物を建築してもらう貸し方との比較が必要です。
「何年後に土地をどうしたいのか」というご家族のライフプランを明確にし、それに合致した期間の契約(事業用定期借地権など)を結ぶことが重要です。
また、将来の相続対策として、人に貸している土地の評価額を200㎡まで50%減額できる「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」という制度があります。ただし、この特例は「相続開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた土地は原則として対象外」となるほか、細かい条件があるため早めの準備をおすすめします。
駅から遠い土地や変形地は、どうしても借り手が見つかりにくいことがあります。
また、建てる建物の種類を制限する「用途地域」という法律上のルールによっては、オーナーさまが希望する商業施設などが誘致できない場合もあるため、プロによる事前の調査が不可欠です。
10年、30年という長期契約の中で、将来日本の物価が大きく上昇したとしても、一度決めた賃料を途中で値上げすることは借地借家法の観点から非常に困難です。
インフレによる目減りを防ぐためにも、契約時に物価上昇に連動して地代を見直す特約(スライド条項など)を設けるなどの対策を講じましょう。

「具体的にどうやって貸し出せばいいの?」と悩まれる方も多いでしょう。土地を貸す手続きには専門的な知識が求められます。お悩みに応じて、以下の専門家や窓口に相談することをおすすめします。
「どのように貸すと一番収益が上がるのか」「どんなテナントを誘致できる 可能性があるか」といった市場調査や事業計画の立案は、不動産会社やハウスメーカーに相談しましょう。
特に実績のあるハウスメーカーであれば、「土地だけを貸す」プランと「賃貸住宅を建築してアパート経営を行う」プランを比較検討することも可能です。 また、前述した「小規模宅地等の特例」をはじめとする節税効果のシミュレーションは、税理士に相談すると安心です。
「自分の土地にはどんな活用法が合っているのか」「優良な借主(テナント)はどう探せばいいのか」と迷われたら、まずは客観的な市場調査を行ってみることをおすすめします。
パナソニック ホームズでは、ハウスメーカーとしての確かな建築技術はもちろんのこと、不動産・医療コンサルティングの視点から、オーナーさまの大切な資産を守るご提案を行っています。
「更地のまま定期借地権で貸す場合」と「建物を建築して貸す場合」の収益比較や、独自のネットワークを活かした医療・介護施設の事業者さまと のマッチングなど、幅広い選択肢の中から公平な視点で、あなたに最適なプランを一緒に考えます。
土地を貸すという選択肢は、初期費用を抑えながら安定した収入を得られる魅力的な資産活用法です。しかし、契約期間や法律のルールを正しく理解しておかないと、大切な資産である土地が戻ってこないリスクも潜んでいます。まずはオーナーさまご自身のライフプランを明確にし、専門家と連携しながら、適切な土地活用の方法を見つけていきましょう。
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