住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
中庭は、外壁や塀・植栽に囲まれている中にある庭のことで、パティオやロッジアと呼ばれることもあります。中庭のある家は、華やかで開放的な雰囲気にできるだけでなく、室内からでも緑を楽しめたり、中庭を多目的な空間として使えたりとさまざまな魅力があります。
しかし、中庭の建設費用がいくらかかるのか不安に思う方もいるかもしれません。そこで本記事では、中庭のある家を建てる際の価格目安や、中庭のメリット・デメリットを詳しく解説します。中庭を設置した住宅の間取り事例も載せているので、参考資料として活用してください。
中庭のある家は、以下の住宅形状になるのが一般的です。
中庭のある家にかかる費用は、L字型<コの字型<ロの字型の順で高くなる傾向があります。ロの字型のように中庭と面している外壁の面積が大きくなるほど、その分コストが増していくと理解しておきましょう。
中庭のある家にかかる詳しい費用については、以下のとおりです。
中庭のある家は、一般的な住宅建築の坪単価(日本では約50万円〜100万円)にプラス3万円〜5万円程度上乗せされるのが相場とされています。そのため、平均的な敷地面積の住宅に中庭を設置すると、数百万円以上の費用がかかるイメージです。
たとえば、坪単価50万円で40坪の住宅を建てた場合、中庭なしでは2,000万円のところ、中庭を設置すると2,200万円程度の建築費用がかかります。
中庭をつくる際には建築費用の多くを占める外壁が増えるだけでなく、採光のための窓や中庭の排水設備、屋外用照明の設置なども必要です。デザインや設備へのこだわりが多くなるほど、費用も増していくため注意しましょう。
中庭のある家は魅力的ではあるものの、デメリットも存在します。中庭のある家のメリットとデメリット両方を理解したうえで設置を検討するようにしましょう。
中庭は、外から室内への採光性や通気性に優れているのが特徴です。
中庭を設置する際には、中庭に面する住宅部分に窓や出入り口などの開口部を多く設けます。そのため、窓や開口部から光を取り込めて室内を明るく保つ、あるいは室内の空気を新鮮に保つことができるでしょう。日当たりが悪い部屋ができやすいとされている平屋や北向きの開口部がある住宅でも、中庭を通して採光・通風できるため、暗さや通気性の悪さを解消できる利点があります。
他にも室内が広々と見えたり、開放感が増したりする特徴も挙げられます。中庭と室内をつなぐ窓や出入り口を工夫すれば、住宅と中庭がひとつながりになったように感じられる間取りも実現できます。アウトドアリビングとして、中庭にテーブルや椅子を置いてリビングの一部にしてみるのもよいでしょう。
また、中庭はプライバシーを確保しやすいのもメリットのひとつです。住宅形状をロの字やコの字、L字にすると、周囲から中庭で過ごしている様子が見えにくく、家族全員が安心して過ごせます。
一方で中庭のある家は、住宅形状が複雑なことから、建築費用が割高になりやすいデメリットがあります。特に、ロの字・コの字型は中庭と面する外壁の面積が大きいだけでなく、開口部に設置するサッシや窓も増えるため建材が増え、建築費が高くなりやすいでしょう。
さらに住宅形状が複雑だと、室内の生活動線にも影響が出ます。中庭を中心とするロの字やコの字型住宅では、中庭を基準に間取りを設計するため、扉や廊下が多くなりがちです。そのような間取りは部屋の行き来がしにくく、家事効率が下がる可能性があります。
また、開口部の大きい住宅は外気の影響を受けやすく、室内の冷暖房効率が下がる傾向があります。冷暖房が効きにくいと、室内を適温に保つのに時間がかかるため、光熱費も余分にかかりやすくなるでしょう。
他にも、ロの字やコの字型の住宅では雨水が中庭に溜まりやすく湿気がこもることから、排水対策をしっかり施していないと、室内外がジメジメとして虫が発生しやすいという欠点があります。
中庭のある家を建てる際には、先ほど紹介したデメリットをカバーするように設計するのがポイントです。
たとえば、生活動線に配慮して間取りを考えます。中庭のある家は、ロの字やコの字など複雑な形状で廊下や間仕切りが増える構造となるため、室内の回遊性が低下してしまう恐れがあります。そこで、LDKと玄関をひとつながりにして帰宅後すぐに家事に取りかかれるようにしたり、水回りをひとつにまとめたりして、余計な移動が発生しないように配慮しましょう。
また、中庭に屋根を設置して、天候に左右されずに室内との行き来をしやすくするのもひとつのアイデアです。中庭を経由して他の部屋へ移動ができると、回遊性の高い住まいになるためおすすめです。
中庭の排水設備を整えておくことも、対策のひとつとして挙げられます。中庭は雨水が溜まりやすく、湿気が発生しやすい環境です。そのため湿気によってカビや虫が発生しないよう、排水用の集水マスを設置したり、中庭自体に勾配をつけたりするとよいでしょう。また、こまめに掃除できるよう水道管や配電設備を設けるのもおすすめです。
ここからは、中庭を設置した住宅の実例を紹介します。こだわりのポイントや間取り、デザインの参考としてご覧ください。
こちらの住まいは、3階建て住宅の中心に中庭を設けています。1階部分には玄関やプライベートルームを設け、2階には広々としたLDK、3階は書斎やゲストルームと目的を分けて間取りを設計しているのが特徴です。
どの階層からでも中庭のシンボルツリーを眺められ、家族もゲストもリラックスできるそうです。近隣には大きなマンションも建っていますが、周囲環境にとらわれず季節の移ろいを感じられるのも魅力です。
こちらの住まいは、中庭を中心にLDKや和室を設置した2階建て住宅です。
LDKからは、大きな開口部を通して爽やかな植栽を楽しめます。キッチン側に設置されたシースルー階段は、上階だけでなく中庭にも視線が抜けて開放感を高めています。またリビングにも明るい日差しが届き、居心地の良さをアップさせています。
中庭に面している和室からは中庭やこだわりの坪庭を眺められ、室内の和モダンな風情をより一層引き立てています。
中庭を設置すると採光性や通気性が高まるだけでなく、室内の開放感が増したり、家族のプライバシーを確保できたりと機能的なメリットを多く得られます。
一方で、一般的な住宅より建築コストが割高になる点や、冷暖房効率が下がるといったデメリットには注意が必要です。
デメリットを軽減するためには、間取りや中庭設備への工夫が求められます。本記事で紹介したポイントも参考に、満足のいく家づくりを進めましょう。