住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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フードコーディネーター・料理家こてらみやさん
こてらみやさんのご自宅は、東京・渋谷のマンション最上階。ベランダに出ると、たっぷりとした緑に包まれます。果樹にハーブにバラの鉢、青々とした実を付けているのはアーモンドの木。水やりをしていたこてらさんが、「ぶどうの花や新芽は、天ぷらにしてもおいしいんですよ」と言いながら、ぶどう棚に手を伸ばします。蜜蜂がせっせと蜜を集め、頭上には青空が広がり、ここが都会だということを忘れてしまいそう。
ベランダにはテーブルとバーベキューセットが置いてあります。肩肘張らず、いつものごはんをベランダで……というのが、こてらさん流。
「台所でつくったものを運んできて食べるだけでも、気分が変わります。ベランダは第二のリビングルームですね」
19年前に越してきた時、ここは物置が置いてあるだけの、がらんと広いスペースでした。夫・畑山信也さんの誕生日にガーデニングセットをプレゼントしたところ、2人の植物愛に火が付いて……。こうしてベランダは、なくてはならない場所になりました。
信也さんが常々口にするのが「庭は家庭に必要」という言葉。「『家庭』は『家』と『庭』と書くでしょう」と。こてらさんも、「以前はキャンプに出かけることもありましたが、今は家にいるだけで十分」と笑います。
水やりは朝夕。植物はすべて鉢植えで150鉢ほどあり、カベルネ・ソーヴィニヨン(ワインの原料になるぶどう)やマイヤーレモンの木も。
天気のよい日は、ベランダで食事する。炭火をおこし、フライパンやまな板を出したら準備完了。
夫・信也さんの愛称を冠したプレート。
ガーデングッズをおしゃれに分類。
月桂樹の新芽に熱湯を注いで、香りのよいお茶に。
お友達が遊びに来ると、こてらさんは「ベランダで食べない?」とガーデンへと誘います。皆、大喜び。
「うちのベランダごはんは、参加型。材料を途中まで用意したら、お客さんが自分好みにアレンジしていくんです。その日の天気や気分で、食べたいものは人それぞれに変わりますから」
例えばハンバーグサンドは、ひき肉をこねずにそのまま焼くだけ。パンに挟む野菜はお皿に並べて、セルフ形式に。焼きたてのハンバーグをパンにのせたら、野菜を好き好きに取っていきます。青空の下で食べる料理は、シンプルが一番。大きく口を開けて頬張ると、熱々の肉汁がじゅわっ。たとえパンくずや油が床に飛んでも、ベランダなら気になりません。お客さまも自然とくつろぎ、笑顔になって……。
「もてなす側もうれしいんです。台所にこもりっきりにならず、皆とおしゃべりしながら料理できるから」
火元は、炭火をおこすこともあれば、カセットコンロを使うことも。意外と便利なのが、電磁調理器。「天ぷらをする時など、火元の心配がないし、お掃除も簡単。熱々の揚げたてをいただくのは最高ですよ」と、こてらさん。
青空がのぞいたら、庭やベランダで食事をしませんか。いつものごはん時間が、きっとうれしい時間に変わります。
こぼれ種から育ったディルと、サラダ用のリーフを収穫。
炭火をおこす時は、1時間ほど前に着火して、熾火(おきび:赤くおこった炭火)にしてから調理を始める。
野菜はひと皿に盛って、めいめいで取るセルフ形式に。乾燥を防ぐため、食べる直前まで濡れ布巾をかけておくと、フレッシュな味わいが保たれる。
肉が焼けたら、セルフ形式でサンドイッチに。
●牛ひき肉(または合いびき肉) 400g ●トマト 適量 ●アボカド 適量 ●ピーマン 適量 ●玉ねぎ 適量 ●リーフレタス 適量 ●レモン 適量 ●ハラペーニョのピクルス 適量 ●イギリスパン 4枚 ●塩・粗びき黒こしょう 各少々 ●油 少々 ●オリーブオイル 適量
❶ひき肉は100gずつに分け、オーブンペーパーかラップを使って、パンを半分に切った時の大きさに合わせて包み、形を整えておく。❷野菜はパンに挟みやすい大きさに切る。玉ねぎが辛いようであれば水にさらして水気を切っておく。レモンはくし形切りにする。❸パンの片面をトーストして半分に切る。❹フライパンに油を熱し、①のひき肉をこんがりと焼く。塩とこしょうをふり、③の半分に切ったパンにのせる。❺④に好みの野菜やピクルスをのせ、塩、こしょう、オリーブオイルをかけ、レモン汁を絞りかけてもう半分のパンで挟む。好みでケチャップやマヨネーズをかけたり、チーズを挟んだりしてもおいしい。
肉はつなぎを使わず、素材の味を楽しむ。フライパンでしっかり焼いてから網に移して炭の香りを付けると、いっそうおいしい。
●じゃがいも 4〜5個(500g) ●プレーンヨーグルト 200g ●おろしにんにく 少々 ●レモン汁 小さじ1 ●ディル 1パック ●塩・粗びき黒こしょう 各少々
〈A〉 ●プレーンヨーグルト 大さじ1 ●オリーブオイル 大さじ1 ●塩 小さじ1/3
❶200gのヨーグルトをペーパータオルを敷いたざるにのせて冷蔵庫で1時間水切りする。ディルは、茎を取り除いておく。❷じゃがいもは皮付きのまま串がスッと刺さるまで、ゆでるか蒸す。皮をむいてひと口大に切る。❸〈A〉を混ぜてソース状にしたところに、まだあたたかい②のじゃがいもを入れてあえ、粗熱を取る。❹①の水切りしたヨーグルトとおろしにんにく、レモン汁、粗びき黒こしょうを混ぜ、③とディルを加えてあえる。塩で味をととのえる。
マヨネーズよりもすっきりとした味わいで、肉料理の付け合わせにおすすめ。ディルをたっぷりと加え、さわやかに仕上げたい。
京都・祇園生まれ、東京在住。子どもの頃から、京料理やおばんざいに親しむ。実家は西洋骨董店。保存食と常備菜を取り上げた著書『魔法のびん詰め』(三笠書房)がベストセラーに。昨年刊行された『料理がたのしくなる料理』(アノニマ・スタジオ)では、ベランダでの料理も多数紹介。また最新刊『レモンの料理とお菓子』(山と溪谷社)には、ベランダで収穫したレモンも登場。●インスタグラム @osarumonkey