住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】

軽量鉄骨と重量鉄骨の最も分かりやすい違いは、鉄骨に用いられる鋼材の厚みです。鋼材の厚みが6mm未満であれば「軽量鉄骨」、6mm以上であれば「重量鉄骨」に分類されます。
厚い重量鉄骨の方が部材としての強度が高くなるため、同じ階数の建築物であれば軽量鉄骨より構造を単純化できるほか、軽量鉄骨では難しい高層階の建築にも耐えるのがメリットです。ただし重量鉄骨自体が重いうえに、それを支える頑丈な基礎も必要となることから、コストの安さでは軽量鉄骨に軍配が上がります。
防音という観点から見た場合、部材の厚みや柱の太さはそれを覆う壁の厚みにも影響するため、基本的には軽量鉄骨造よりも、重量鉄骨造のほうが防音性が高くなるといえます。壁が厚ければ厚いほど、その空間が騒音をある程度吸収(吸音)してくれるためです。
しかしながら、鉄筋の周囲にコンクリートが充てんされた「鉄筋コンクリート造(RC造)」と比べれば、鉄骨造は骨組み同士の間に空間が多く空いており、音を反射・拡散して遮る効果(遮音)はあまり期待できないため、どうしても防音性は下がってしまう点は木造に近いでしょう。
そのため鉄骨造の賃貸住宅においては、設計段階からできる工夫や、後からでも導入できる対策で防音性を確保しておくことが重要です。

主な生活音には「固体伝播音」「空気伝播音」の2種類があります。人間の足音・機械の発生させる振動といった音は、前者の「固体伝播音」に該当し、壁・床・柱などをつたって周囲の部屋に伝わりやすい音です。特に木造や軽量鉄骨の建物は、使われている部材自体が振動を伝えやすい傾向にあります。そのため本人たちも気付かないうちに、上下左右(場合によっては斜め)の隣室との騒音トラブルの原因となっていることがあるようです。
スピーカーから発されるゲーム等の音や話し声は、空気をつたって届く「空気伝播音」です。空気伝播音の聞こえる大きさは、発生源との距離や遮へい物の有無によって変わってきます。そのため先程ご説明した、重量鉄骨造やRC造の「壁自体が比較的厚くなる」ことによる防音効果の恩恵を受けやすいと言えるでしょう。
環境音が静かな深夜はともかく、昼間から「筒抜け」と思える程にうるさい場合は、壁が薄すぎるなどそもそもの構造に問題がある可能性も考えられますので、設計段階で防音性への対策を講じておく必要があります。
特段大きな音を出しているわけではなくとも、生活リズムの異なる世帯が隣接している場合は騒音トラブルとなることが考えられます。普通に生活している分には特に気にならない生活音も、就寝時間帯に聞こえる頻度が高ければ、騒音に感じるのは無理のない話です。
例えば全日稼動・交代制を採用している工場の周辺地域といった、夜勤者の多い立地での賃貸住宅経営においては、騒音トラブルのリスクが高まる可能性があります。生活リズムの多様な入居者に備え、防音性能を高めておく必要があるかもしれません。

賃貸住宅の設計段階でできる工夫のひとつめは、部屋の配置に応じて間取りを工夫することです。
騒音トラブルの起きやすさは部屋の隣接の仕方によっても変わりますので、隣接する部屋数が多い場合は、重点的な対策を取る必要性が高まるということになります。壁を厚くすることが難しい場合には、クローゼットや水回りといった一定のスペースに遮音材を追加するなどして、吸音の機能を兼ねるのも効果的です。
ただし、水回りの構造や洗濯機置き場の位置等によっては、固体伝播音を隣室に近い位置で発生させてしまい、逆効果となる可能性もあるため注意しましょう。
また窓に関しては、二重サッシを採用することで騒音対策と断熱対策の両方を兼ねることが考えられます。
設計段階でできる2つ目の工夫として、部屋の間取りや構造だけでなく、その材質から防音効果のあるものに変更することも有効でしょう。
例えば「ALCパネル」と呼ばれる軽量気泡コンクリートは、一般的な木材や石膏ボードなどと併用して採用されることがある壁材です。この素材は細かな気泡を大量に含んだ構造となっており、軽量で断熱性・耐火性に優れているほか、防音性の向上も期待できます。RC造のような一体構造の遮音性には敵わないかもしれませんが、このような素材を採用することで騒音トラブルを抑止し、長い目で見た入居者満足度の向上を目指すことが可能です。
すでに建築済みの賃貸住宅において、諸事情で改修や追加工事が難しい場合は、後付け可能な防音対策を行うことも考えられます。例えば「天井・壁用の吸音・遮音マット」「衝撃吸収性の高いフロアマット」「断熱等級・防音性に優れたカーテン」等を設置することで、防音性を高めることができるでしょう。
ただし、これらの対策は内装の見た目にも関わるものであり、入居者のニーズによっては合致しなかったり、インテリア選びの自由度を狭めたりしてしまう可能性もあるため注意が必要です。さらに、これらは入居者自身でも導入が比較的容易な対策ですので、物件の価値に直結しづらいでしょう。
防音性を賃貸住宅の売りとして入居促進につなげたい場合は、オーナー側が設計段階から防音性を高めるといったことを検討しておく方が適切かもしれません。
軽量鉄骨造と重量鉄骨造で防音性を比較した場合、建材自体と壁の厚みにより、重量鉄骨のほうがわずかに静かと感じられる可能性が高いと言えます。ただし遮音・吸音の役割を果たす壁の材質や、部屋の構造・配置など、防音性を左右する要素は数多く存在しますので、賃貸住宅経営においては設計の時点で防音性を考慮に入れておくことが重要です。
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