住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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井出綾さん
井出綾さんのお住まいは、26年前に建てた一軒家です。間取りも、家具の位置も、新築当時からほぼ変わっていません。それでも飽きることがないし、この家にいる時間が好きなのだとか。「もしかしたら、植物のおかげかもしれませんね」と井出さんは言います。
本棚、窓辺、キッチンなど、ちょっとしたスペースに、草花がさりげなく生けてあります。見慣れた空間に季節がめぐっていくと、日常のちょっとしたシーンが、いきいきとしてきます。
「植物は生きているから、毎日変化があるんですよね。『枝もののつぼみがほころんできた!』とか、『豆のつるが伸びてきた!』とか。昨日とは違う小さな変化を見つけるたびに心が動いて、けなげな姿に力をもらいます」
うれしいことに、花は家事も助けてくれます。例えば、素敵な花を手に入れたら、飾るスペースを軽く掃除したくなるでしょう。そんなふうに掃除や片付けのモチベーションも上げてくれるのです。
「『お手入れが大変』と心配する方もいらっしゃるのですが、私は気が付いた時に水を替えたり、枯れてきたものを整理して生け替えたりするぐらい。それでも、場の気がまわり始めるというのでしょうか、空間が新鮮に見えて、気分もすっきりしますよ」
水替えのタイミングで、しぼんできた花や枯れた葉っぱを整理します。弱ってきた花を吊してドライにすることも。クリスマスローズは形を保ったまま枯れていき、その姿も趣があります。
窓辺に飾られていたのは、香りのよいロウバイの枝と、クリスマスローズ。春を告げる香りに、うれしさが広がります。
ガラスの器には、ナンテンの実。あたたかい灯火のよう。
ガラスの花瓶に入ったグミの枝は、生けて2カ月ほど経ってもまだまだ元気。
春は、花店に並ぶ花が充実する季節。どんな花がおすすめでしょうか。
「まず、春の楽しみは球根花ですよね。香りのよいヒヤシンスや、チューリップ。それからおすすめなのは、枝ものです。堅い枝先からつぼみがふくらんで花が咲いて、花が終わると緑が芽吹いて。じつに変化があって長く楽しめます」
小さな草花なら1~2種を、マグカップやコップに挿すだけでも十分です。小さな器の中で日々いきいきと変化していく様子に、心が躍ります。
「大ぶりの枝ものや、たくさんの種類の花を組み合わせるのも楽しいもの。花瓶がなければ、かごやボックスを花器代わりにしても。普段使っている道具の素敵な使い方が見つかると、家事も楽しくなりますよね」
花の居場所が決まったら、毎日の変化を楽しみます。家事の合間、ふと目をやると、最初は小さかったつぼみがふくらんでいたり、新しい芽を見つけたり。さらには満開の感激、そして散り際の美しさといったら。
「チューリップやシャクヤクが床に散った姿って、大好きなんです。しばらく片付けずに眺めています」
ドライになった姿もいとおしい、そんな時は透明のガラス器などに入れて飾っておいたり、束ねて壁に吊したり。そうして楽しんだ草花は、新しい季節の花がやってきた時が、入れ替えのタイミング。気持ちも場所もすっきり整います。
花で季節の模様替え、始めませんか。
ヒヤシンスは香りが魅力。
明日はどこまで伸びるかな、マメの花のつる。
枝ものの魅力をたたえたロウバイ。
時代物のガラス瓶に、ワスレナグサの花を。口が細いので、ヒョロンとした草花も安定します。
カップにたっぷりのパンジーを挿してキッチンに。毎日のように新しいつぼみが伸びてきて、元気いっぱい。
枯れてきた姿も風情があります。スワッグにして窓辺へ。
サクラの枝、スイセン、チューリップ、マメの花。花瓶をしのばせた荒物にたっぷり生けます。
輸入雑貨店、デザイン事務所を経て、アレンジメント教室勤務。フリースタイルのフラワーアレンジメント、ランドスケープデザインを学び、1994年よりフリーランス。雑誌、広告、イベント、商業施設でのアレンジやスタイリングと、「花あわせレッスン」
「野山の花の会」やワークショップなどを通して、自然と暮らしをつなぐ花を提案している。●soleil-net.com