住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパート経営には空室リスクをはじめいくつかのリスクがあります。しかし、その一方で、運営次第では長期にわたって安定した収入が見込める代表的な土地活用でもあります。ここでは、最低限知っておくべき、アパート経営のメリットとリスクを解説します。
土地はただ所有しているだけで税金や維持費がかかりますが、賃貸住宅などの建物が建っている土地には、「住宅用地の軽減措置」が適用されるため、毎年課税される固定資産税や都市計画税が軽減されます。また、「貸家建付地」では、土地の評価額が更地よりも低くなる場合が多いため、相続税の節税にもつながります。
土地や建物の価格は株価のように急激に変動することがなく、資産として安定感があるのが特徴です。そのため、適正な経営計画を立てることで、長期的に安定した収益の確保が期待できます。
アパート経営における管理方法には、一括借り上げ、管理委託、自主管理の3種類があり、自分に合った方法を選べます。「一括借り上げ」の場合、オーナー様はわずらわしい管理業務の必要がなく、毎月一定の賃料が保証されるので安心感があります。だたし、他の管理方式に比べて管理手数料が高くなることや、入居状況などに応じて賃料の見直しが発生することもありますので、メリットとデメリットをきちんと把握しておきましょう。
アパートローン借り入れの際に、「団体信用生命保険」に加入しておくと、契約者が死亡・高度障害になってしまった場合に保険金で借入金が相殺され、万が一のときにも家族に資産を残すことができます。
アパート経営のメリットを知っておくとともに、アパート経営におけるリスクもきちんと理解しておきましょう。
家賃収入で収益を上げるアパート経営において最も深刻なのが、「空室リスク」です。空室が埋まらない理由は、立地の問題だけではありません。経年によってアパートの魅力が低下していたり、管理が行き届いていなかったり。また、企業や大学が移転するなど環境変化によって供給過剰の状態になってしまうなど、外的要因を含めさまざまな理由が考えられます。
家賃滞納は、オーナー様の収益を圧迫する要因のひとつです。現金収入が得られないのに帳簿上の利益は立つため税金は減らず、さらに退去措置を取るにしても費用がかかってしまうからです。家賃滞納の原因としては、個人のモラルの問題のほか、急激な社会変化によるリストラなど経済的な理由で家賃が払えなくなるという状況も考えられます。
アパート経営では、多様な入居者が一緒に住むことから、騒音問題をはじめとする入居者同士のトラブルや入居者からのクレームなどを想定しておかなければなりません。場合によっては入居者が退去してしまうことにもなりかねないため、トラブルが発生した際にはすみやかに対処する必要があります。
火災や地震に備えることはもちろんのこと、近年大型化傾向にある台風や豪雨が増加傾向にある近年は、自然災害への備えがより一層必要になっています。リスク回避のためには耐火性、耐震性、防水性の高い建物を建築するほか、火災保険に加入する際には、補償内容を十分に確認して契約することが重要になります。
アパート経営におけるメリットとリスクのポイントを紹介してきました。次に、前述のリスクを回避する方法でもある、アパート経営を成功へ導くための5つのセオリーを解説します。
アパート経営を始める際には、周辺環境を入念にリサーチし、想定される入居者層を見極めることが大切です。周辺の施設や再開発などの将来性、人口動態、周辺のアパートの稼働率や家賃相場などを知ることで、どのような人が入居者となり、どのような賃貸住宅を提供すればいいのかを具体的に考えることができます。
また同時期に設定しておくと良いのが、アパート経営の目的と収支目標です。「ありたい姿」が見えているのと漠然とした状態では、設計や資金面のプランニングが異なってくるからです。明確な収支目標を立ててモチベーション高く取り組んでいきましょう。
アパート経営を成功させるうえで重要なのが、空室対策です。数ある住宅の中から選んでもらうためには、競合との差別化を図り魅力を高めておくことが必須条件となるでしょう。できるだけ無駄を抑えつつ、後述の最新トレンドを取り入れることで入居者の快適な暮らしを実現させる方法を考えることが大切です。
コンセプト型賃貸
差別化を図る方法のひとつに、特定の趣味嗜好を持つ入居者をターゲットに設計・建築された「コンセプト型賃貸」があります。ペット共生型をはじめ、女性単身者向けや子育て世帯向け、趣味を楽しめるガレージや土間のある住宅、そして音楽愛好家向けに防音環境の整った住宅などさまざまなタイプの住宅が展開されはじめています。今後も人口減少による住宅供給過剰が予想されることや、ニーズの多様化が進むことから、「コンセプト型賃貸」の需要が増える可能性がありますので、視野に入れておきましょう。
人気の住宅設備
設備の充実で差別化を図るのも有効な手段です。その際に重視したいのが「入居者に人気の設備」。今はインターネットで部屋探しをするのが当たり前となり、希望条件で絞り込みますが、その中で設備の比重が高くなっているからです。
希望条件の定番は、「バス・洗面所別」「エアコン」「室内洗濯機置き場」。その他、TVモニター付インターフォン、無料インターネット、温水洗浄便座、浴室乾燥機能など。またコロナ禍を経て、テレワーク時に快適な高速インターネットや遮音性能へのニーズも高まっています。
競争力の高い住宅を建てるためには、複数のハウスメーカーや建築会社に相談し、建築プランを比較検討することをおすすめします。企業によって得意とする構造やデザインは異なり、要望に対する答えもひとつとして同じものはありません。どのプランが最も自分の理想に合っているのか、建築費やランニングコスト、収支計画についても話し合いのうえ、じっくり比較検討して進めていきましょう。
アパート経営は長期的なビジネスであり、その目的は、利益を最大化することにあります。収支シミュレーションには、築年数経過に伴う「家賃下落」や「減価償却」のほか、「定期的な小修繕」や「大規模修繕」を織り込んでおきましょう。余裕のある収支計画をもとに計画的にメンテナンスができれば、建物の印象を高めるとともに建物の寿命を伸ばすことができ、結果的に高稼働・高収益を維持できる可能性があります。
アパート経営を順調に進めていくために重視したいのが、良質な賃貸管理会社を選ぶことです。管理委託の場合、管理の良し悪しで居住環境が大きく左右され、入居者の満足度や定着率も変わってきます。また、新たに入居者を募集する際にも、きちんと管理されたアパートであれば、入居者が決まりやすく、空室対策につながります。
一方、前述の「家賃滞納リスク」や「入居者トラブルのリスク」についても、問題を早期に解決するノウハウを持つ管理会社であればリスクを最小限に抑えられる可能性があります。経営パートナーとして信頼できる賃貸管理会社を慎重に選ぶようにしましょう。
人口減少に伴う供給過剰の状況をはじめ、自然災害の増加や脱炭素化への取り組み、さらにはニューノーマルなライフスタイルの定着によって、現在、アパート経営を取り巻く環境は大きな転換機を迎えています。ここでは、「これからのアパート経営」に必要なアイディアの具体例と最新情報を整理しましょう。
コロナ禍を機に「おうち時間」や「テレワーク」を経験したことで、賃貸住宅における入居者ニーズにも変化が現れています。例えば、子育て世帯の場合、テレワークの定着により都心への通勤回数が減ったことで、郊外の自然豊かな環境と広い生活空間を享受できる住まいへの関心が高まっています。
住居の形態として人気なのが、上下階への音を気にせず子どもをのびのびと育てられ、広いリビングとテレワーク用の個室を確保できる「戸建スタイルの賃貸アパート」。ニーズに合わせて、ガーデニングや家庭菜園などを楽しめる専用スペースや、趣味の世界を広げられるガレージや土間を組み込むなど、多様なスタイルを展開できます。
他の住宅との差別化を図るコンセプト型賃貸のなかでもとりわけ人気の高いのが、「ペット共生賃貸アパート」です。コロナ禍での在宅時間の増加をきっかけに、ペットと一緒に暮らす人も増加傾向にあります。
ペットが安心して過ごせる「ペットスペース」のほか「イオン発生機」、エアコンや照明を外から操作できる「スマート設備コントロール」、散歩用のリードをかけられる玄関先の「お出かけフック」、「足洗い場」など、ペットと人が快適に過ごせる設備が充実しているのが特徴です。
世界的に脱炭素化に向けた取り組みが進む中で、昨今、話題となっているものにZEH(ゼッチ)があります。ZEH住宅とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、高断熱・省エネ・創エネによって1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下となる住宅を指します。日本においては、「2030年までに新築住宅の6割において太陽光発電設備が設置されることを目指す」という目標が掲げられており、東京都は太陽光パネルの設置義務化を2025年4月から実施する方針です。新築賃貸住宅においてもZEHに取り組むことは必然になりつつあります。
高断熱で光熱費が削減され、太陽光発電と蓄電池の設置で停電時にも安心できる賃貸住宅であれば、既存の賃貸住宅との差別化が十分に図れるでしょう。また、「住むことで環境負荷軽減に貢献できる」賃貸住宅は、1990年代半ばから2010年代前半に生まれ、環境問題への関心も高いと言われるZ世代との親和性も高いと考えられています。
Z世代の多くは現在、大学生や新社会人として賃貸住宅の入居者のボリュームゾーンとなっていますが、情報量の多さから社会課題への意識が高く、意味消費を大切にする世代だとも言われています。環境にも人にもやさしい住宅を提供することは、Z世代が求める心地よい暮らしの実現にもつながるはず。建築計画では、ハウスメーカーや建築会社とともに、中長期的な視点で多角的な意見を交わし合うことが肝要です。
【まとめ】
地球環境も社会情勢も大きく変化したなか、アパート経営を始める際の基礎知識と最新トレンドを紹介してきました。大切なのは、事前の情報収集に努め、アパート経営の目的を明確化すること。そして初期投資にメリハリをつけ、人々が心地よく快適に暮らせる賃貸アパートを追求することです。豊富な経験とアイディアを持つ専門家の意見も参考にしながら長期的な安定経営を実現していってください。