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賃貸住宅経営でオーナーさまが認知症になったらどうなる?任意成年後見人を解説

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【目次】

成年後見制度とは?賃貸住宅経営者が知るべき基礎知識

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成年後見制度の目的と仕組み

成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が不十分になった人の生活・財産を守る仕組みです。本人が自分で契約内容を理解し、合理的な判断をして取引を行うことが難しくなったとき、その人を法律面から支えるために設けられました。

特に賃貸住宅を経営するオーナーさまの場合、日常的に「契約行為」「金銭管理」などの法律行為が必要となるため、判断能力が低下すると経営全体に大きな影響を与えます。トラブルを避けるためにも、事前に制度についての理解を深めておくことが重要といえます。

制度は大きく 「任意後見」 と 「法定後見」 の二つに分かれます。

  • 任意後見制度

まだ判断能力があるうちに、あらかじめご本人自らが選んだ人と契約を結んでおく制度です。後見人や支援内容を、本人が自由に決められる点が大きな特長です。

賃貸住宅経営を自身の意思決定に沿って引き継ぎたい方にとって、使い勝手のよい仕組みといえるでしょう。

  • 法定後見制度

認知症の発症などで判断能力が低下した後に家庭裁判所へ申し立て、裁判所が後見人を選任する制度です。家族が選任されるとは限らず、法律や福祉の専門家が選ばれるケースもあります。

「すでに認知症が進んでおり、自分で契約するのが難しい」という段階で利用されることが多く、緊急避難的な意味合いも強い制度です。

法定後見人は財産管理や契約の代行を行いますが、任意後見人と異なり、支援内容の柔軟性は低い傾向にあります。「本人を守る」観点から運用される点を理解しておきましょう。

オーナーさまが認知症になってしまったら?

認知症は85歳以上では4人に1人が発症するといわれています。賃貸住宅を経営するオーナーさまにとっても、準備や対策をとっておくことが大切です。

判断能力が低下すると、以下のような賃貸住宅経営に不可欠な法律行為が行えなくなります。

  • 新規入居者との契約
  • 賃貸借契約の更新、解除
  • 修繕、原状回復工事の発注
  • 家賃管理、金融機関との取引
  • 不動産の売却や担保設定
  • 相続、承継手続き

法律行為には「本人の意思」が必要となるため、家族が代わりに契約しても無効になる点が難点です。管理会社も同様に、法的根拠のない代理行為はできません。

その結果、以下のようなリスクが生じます。

  • 空室が埋められない
  • 修繕が滞る
  • 資産価値が下がる
  • 必要な売却ができない

こうした事態を避けるためにも、後見制度の理解と準備が不可欠です。

特に相続や事業承継を視野に入れている賃貸住宅経営の場合、「誰が」「どのタイミングで」経営判断を引き継ぐのかを、早めに明示しておくことが重要になります。

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賃貸住宅経営における成年後見人ができること

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法定後見人が代行できる業務

法定後見制度を利用すると、裁判所が選任した法定後見人がオーナーさまの法律行為を代わりに行います。賃貸住宅経営に必要な、以下のような主要業務のほとんどを法定後見人が代行できます。

  • 賃貸借契約の締結、更新、解除
  • 建物管理、修繕工事の発注
  • 家賃管理などの財産管理全般
  • 不動産の売却、担保設定などの処分行為

ただし、「投資行為(新規物件の購入など)」は後見人では行えません。法定後見人はあくまで現状の財産を守る立場であり、積極的にリスクを取って資産拡大を目指すような行為はできません。

また、法定後見人には「取消権」があります。これは、本人が不利な契約をしてしまった場合、後見人がそれを取り消して保護する機能です。悪質な訪問販売や不動産取引などから本人を守るための重要な仕組みといえます。

任意後見人の場合はどうなる?

任意後見制度では、本人の判断能力が十分な時点で「任せたい業務を明確に契約で定める」点が大きな特長です。代理権目録に以下のような権限を予め記載しておくことで、賃貸住宅経営に必要な法律行為が可能になります。

  • 賃貸借契約の管理
  • 修繕契約、建築工事の発注
  • 家賃や預金の管理
  • 税務処理、確定申告
  • 不動産売却の判断
  • 管理会社との契約継続

それぞれのケースで必要な権限は異なります。契約時は、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら権限を決定しましょう。

なお、法定・任意どちらの後見人も「介護の実務」、つまり身の回りのお世話は行えないことに注意しておきましょう。ただし、介護サービスに関する契約や、施設入所契約は行えます(身上監護)。

賃貸住宅経営と生活・介護の契約は密接に関わるため、どちらも任せられる体制を作っておくと安心です。

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任意後見人を指名する手順と費用

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任意後見契約の手続きの流れ

ここまで説明してきたように、法定後見制度はあくまで認知症になってしまった際の緊急避難的な意味合いが強い制度になります。

賃貸住宅オーナーさまが将来に備えるためには、任意後見制度を活用していくことになります。

そのため、ここでは任意後見人の契約手続きの進め方について解説します。

ステップ1:後見人候補者を選定

任意後見人は以下から選べます。

  • 親族
  • 弁護士、司法書士など法律の専門家
  • 社会福祉士など福祉専門職
  • 公益法人

なお、特別な資格は不要のため、信頼できる家族や友人を選ぶことも可能です。賃貸住宅経営の経験や管理に理解がある人を選ぶことが望ましいでしょう。


ステップ2:代理権目録の作成

任意後見人に任せたい権限を目録に明記します。

賃貸住宅経営の場合は、以下のような項目を作成することが一般的です。

  • 不動産の管理、賃貸、売却
  • 賃貸借契約の締結、更新、解除
  • 修繕工事、リフォーム契約
  • 金融機関取引、税務手続き
  • 管理会社との契約

代理権目録については、専門家と相談しながら作ることで、将来のトラブルを避けられます。


ステップ3:公証役場で任意後見契約を締結

公証役場で公正証書を作成し、任意後見契約を結びます。

契約後は公証人が法務局に登記を行います。


ステップ4:判断能力低下後に監督人を選任

本人の判断能力が不十分になった段階で、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

監督人が就任したタイミングで契約が効力を持ち、後見人が活動を開始します。


任意後見契約で発生する費用・報酬

任意後見制度の利用にあたり、主に次の費用が発生します。

  • 申立手数料:収入印紙800円
  • 登記手数料:収入印紙1,400円
  • 判断能力の鑑定費用(必要な場合)
  • 任意成年後見人への報酬:月2〜10万円程度が一般的

なお、任意成年後見人への報酬については、定めないケースもあります。また、契約内容や後見人の属性によって報酬は変動します。

専門家が任意後見人として関わる場合は、賃貸住宅経営の規模や業務量に応じて報酬が設定されることも多く、事前に見積もりを確認しておくと安心です。

まとめ

賃貸住宅経営において、オーナーさまが認知症になると賃貸借契約・修繕契約・売却・金融取引などの法律行為が行えず、経営が停止してしまうリスクがあります。

成年後見制度のうち、任意後見制度を活用しておけば、経営に必要な権限を事前に設定でき、将来の認知症リスクに備えることが可能です。

公正証書作成や監督人選任などの手続きはありますが、賃貸住宅経営の継続性を守るための重要な仕組みといえるでしょう。「自分の賃貸経営をどう引き継ぐか」を考え始めたタイミングで、任意成年後見人の活用も選択肢の一つとして検討してみてください。

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