住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】

建蔽率とは、土地の敷地面積に対する建物の建築面積の割合のことを指します。土地や建物を真上から眺めたときに、その土地のなかで建物が占めることのできる割合の上限を定めており、その土地がどのような用途で使用されるかによって上限の割合は異なります。
土地に対して目いっぱい建物を建築したほうが無駄もなく、広い建物を建築できるようになるのではと思われるかもしれませんが、建蔽率が定められているのはその建物の安全性や快適性を担保するために非常に重要な要素でもあります。
例えば、土地いっぱいに建物を建築すると、周囲の建物との圧迫感が大きくなるだけでなく、日当たりや風通しが悪くなってしまいます。また、建物が密集していることにより火事が発生した際に延焼が起きやすくなるため、安全面でも大きな懸念材料となります。
そこで、建物を建築する際は敷地の中にある程度の空地(くうち)を残すことで、通風や採光の確保、防災性の向上を図るため、法律や各自治体の都市計画によってそれぞれの土地に建蔽率が定められているのです。
ちなみに、定められている建蔽率を遵守しない建物は「違法建築物」とみなされるほか、自治体からの是正指導や罰則の対象となるなど非常にリスクが伴います。それだけではなく、住宅ローンの審査が通らなくなったり、担保評価が低くなったりするケースもあります。建物を含めた土地を売却しようとする際にも、資産価値が低下することにより周辺地域の平均よりも2~3割程度売却額が下がった例もあるようです。
なお、建蔽率は「建築面積÷敷地面積×100」という式で求められます。
建蔽率は、用途地域ごとに異なる割合が定められています。用途地域とは、計画的な市街地形成を実施するために、用途に応じた土地を区分分けしたものを指します。
なぜこのような区分が必要なのかというと、例として「住宅の用途として使用される予定の土地の近くには、騒音トラブルなどが懸念される工業施設や商業施設用の土地としない」といったように、エリアごとの環境や利便性を向上させることを主な目的としています。
用途地域の上限設定はさまざまで、特に一般住宅に関連する用途地域は以下の表のように30%から80%程度までとなっています。
表1
用途地域 | 建蔽率(%) |
第1種低層住居専用地域 | 30~60% |
第2種低層住居専用地域 | 30~60% |
田園住居地域 | 30~60% |
第1種中高層住居専用地域 | 30~60% |
第2種中高層住居専用地域 | 30~60% |
第1種住居専用地域 | 50~80% |
第2種住居専用地域 | 50~80% |
準住居地域 | 50~80% |
各用途地域の区分分けによって、どのような用途や種類の建物が、加えてどの程度の規模の建物が建築できるのかが定められています。例を挙げると、「第1種低層住居専用地域」の場合、その名の通り建築物の高さが10mもしくは12m以下の低層住宅、とりわけ戸建住宅を中心とした区分です。
ご自身が所有する土地がどの用途地域に区分されているのかわからない場合は、自治体のWebサイトなどや窓口などに問い合わせることで確認が可能です。例えば、神奈川県横浜市は「横浜市地図情報提供システム」というWebサイトにアクセスすることで、建蔽率を記載した地図を参照することができます。
先に触れたように、建蔽率は防災や風通し、日照の確保などを理由として建築物を立てる割合を制限する目的で定められています。建蔽率が低く設定されている住宅専用用途地域のエリアの場合、隣家との圧迫感が少なく広い庭がある閑静な住宅街が広がるようなパターンが少なくありません。
しかし、建蔽率の割合が低い土地は、それだけ建物を自由に活用できる範囲が減少してしまうため、土地活用の方法も限られてしまいます。緩和10%でどれだけ変化するのか見てみましょう。
わずか10%の緩和ですが、土地の敷地が120㎡で建蔽率が60%だった場合、建築物は72㎡分が上限ということになります。ところが、同じ敷地であっても70%だった場合は84㎡と12㎡分広くレイアウトができることになります。12㎡分多く確保できるようになると、想定している間取りにもよりますが部屋を1つ増やすことも可能となる場合があります。
そのため、土地活用を検討している場合は所有する土地で建てられる建物の規模や高さ、建蔽率など、事前に定められた条件を把握しておくことが非常に重要です。


角地は、2つの道路が交差する交差点などがある角の土地のことを指します。また、道路だけでなく広場や公園、河川などが面している場合も緩和要件に該当する可能性があります。
このような角地は住宅が密接する環境になることが少ないため、角地緩和が適用される土地は通常の建蔽率上限に加えて10%分を引き上げることができます。ただし、面している土地が民間敷地である場合は適用できない可能性があるため、角地緩和が適用されるかどうかは事前に自治体に確認しておきましょう。
このほか、土地が2つの道路にはさまれている土地においても、同様の理由で緩和要件が存在します。このケースでは、土地に面する道路の幅や敷地の広さが規定以上でなければ緩和要件として認められないため、あわせて確認する必要があります。
次に、土地のある環境に加えて建物の防火性を高めることで緩和要件を満たすケースを紹介します。この緩和要件は、建物の過密を防ぎ防災性を高めることを目的の一つとしています。
防火地域または準防火地域内において、一定の耐火性能を有する建築物(耐火建築物など)とした場合、建蔽率が10%緩和される制度があります。さらに、防火地域内で耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の条件が100%となるなど、より大きな緩和が認められるケースもあります。
「耐火建築物」「延焼防止建築物」とは、柱や屋根、壁など建築物の主要な構造部位において、耐火・防火性能の高い素材を使用し、通常の火災における防火や延焼を防ぐ性能を有する建築物を指します。
ちなみに、「防火地域」は駅前などの中心となる市街地にあり、大規模な商業施設やオフィスビルなどの建築物が密集しており、交通量や人通りの多い地域に多く指定されています。これらの地域は建蔽率が100%の土地も多く、敷地いっぱいに建物が密集していることも少なくありません。そのため防火地域かつ建蔽率100%の土地は、住居としての用途を想定したエリアで達成することは難しいでしょう。
防火地域を取り囲むように「準防火地域」が指定されており、防火地域ほど建築における制限は厳しくないものの、住宅地が密集している区域が該当するケースが多いようです。
これに加えて、自治体によっては円滑な市街地開発などを目的として、建蔽率をはじめ建築物に対する要件緩和の条件や制度が設けられているケースもあります。
東京都では「再開発等促進区」を定めており、これは「再開発等促進区を定める地区計画に適合する建築物で、用途・容積率の制限、建築物の高さの制限等について、特定行政庁が交通上、安全上、防災上及び衛生上支障がないと認めて認定又は許可したものについては、一般規制を超えることができます」としています。


建蔽率の低い土地かつ狭小地の土地である場合、限りある土地を有効活用するための対策が必要になります。例えば、外壁からの長さが1m以内のひさしやバルコニーは、建築面積に含まれないため建蔽率にも影響しません。「建築物」にあたるのは屋根や柱、壁に囲まれている構造のものとされているため、屋根のない中庭や青空駐車場も建築面積に含まれないということになります。
このように建蔽率に影響しないように居住スペースを確保することで、狭い土地でも空間にゆとりを持たせることができるでしょう。
また、建蔽率の緩和割合は上乗せすることができるため、例えば「準防火地域かつ角地の土地で耐火建築物を建てる」という場合、条件を満たせばそれぞれの緩和を適用できる可能性があります。狭小地のようにもともと有効活用できる土地が限られている場合は、このように複数の緩和要件を合算させて、建築面積を確保させる方法も有効です。
建物を建築する際には、建蔽率とあわせて「容積率」も同時に考慮する必要があります。容積率とは、敷地面積に対してすべての階の「延床面積」を足した割合のことを指します。容積率の割合が高いほど延床面積の上限が上がるため、建物全体の規模を大きくすることが可能になります。
一方で容積率が低い土地の場合、二階建ての家を建てようとしていたのに容積率の上限の影響で三階建てにしなければならなくなった、というように設計や間取りを大幅に変更しなければならないケースもあります。
そのため、限られた土地のなかで理想の間取りに近づけるためには、建蔽率と同様に容積率に算入されない空間設計を導入することが重要です。延床面積に含まれない空間の例として、屋上テラス、吹き抜けなどが該当します。これに加え、地下室やロフト、ベランダ、ビルトインガレージなど、広さや長さなどの条件に含まれる場合のみ、延床面積に含まないとすることも可能です。
また、容積率が低いということをあえて生かす空間設計も可能です。容積率が低いということは、建物が建てられない空間が広くなるということになります。これを生かして、例えば建物が建てられない空間に壁や柱などがなく「建築物に該当しない」駐車場を設けることで、建蔽率と容積率を考慮した土地活用が可能になります。
限られた土地を有効活用するためには、縦の空間づくりを意識することが重要です。建蔽率と容積率のほかにも、「絶対高さ制限」など土地に対する建築物の高さの制限は法律によって定められているものがあります。この範囲内に収めることを念頭に置き、先に触れたとおりロフトや地下室などを設けて多層階の空間設計にすると、限られた土地を生かしながら広々とした住宅設計ができるようになります。
例として建蔽率の緩和に該当する角地の場合、周囲に隣接する建物が少ないという条件を生かして、多層階にすることでより採光や日当たりの確保が容易になるというメリットを生かすこともできるでしょう。
先に触れたように、建蔽率が10%緩和されただけでも、場合によっては住宅の戸数を増やした設計が可能になることもあります。同じ土地面積であっても建蔽率緩和によって戸数を増やしたり間取りの改善によって家賃の増額が見込めることで、より高い収益性を高められることから利回りを改善させることにもつながります。
例えば総戸数が6の木造二階建てアパートを検討していたものの、建蔽率緩和を適用できることが判明し総戸数を8にして家賃を7万円に設定したとしましょう。単純計算では家賃7万円×増設2戸×12ヶ月=168万円分の収益増加が見込めます。
一方で、耐火建築物の認定によって建蔽率緩和を目指す場合、追加で発生するコストによる初期費用の増加分と今後発生する収益性との見極めが重要です。耐火建築物として認められるためには、国土交通大臣が認定した耐火性能に適合するように、壁や床など建築資材によりコストの高い材料を用いなければいけません。木造でも耐火建築物として認められることもありますが、それでも一般的な建築コストよりも1~2割程度高くなることが一般的といわれています。

このように、建蔽率の緩和要件を詳しく把握することで、実質的な建設面積を増やすことが可能になり、より効率的な土地活用が叶います。場合によっては、当初予定したよりも大きな規模の建築ができることで、戸数の増加や収益性の向上も見込めるかもしれません。土地活用を最大限にいかすためには、建蔽率緩和制度をはじめさまざまな制度理解が収益差につながります。
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