住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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フローリスト・園芸店勤務脇田ひかるさん・哲弥さん
たくさんの植物に囲まれて
暮らしていきたい……
そんな夢をかなえた、
岐阜県多治見市の
脇田ひかるさん・哲弥さんご夫妻。
庭の成長とともに、
暮らしも豊かに育っていきます。
「朝起きた時に、緑が目に飛び込んでくる。それがうれしいですね」と哲弥さん。「私は、朝夕に聞こえる、鳥や虫の声が好き」とひかるさん。植物の大好きな2人が念願の庭を手に入れてから、3年目の夏がやってきます。
住居はミニマムな平屋建。その分、庭は広々と取ってあります。数百株の植物が育つ庭づくりは、現在進行形。「まだ、芝生も十分に張り込んでいないんです。庭にかける予算ができるたびにコツコツと増やしていて。でも、いいんです。最初から完成形を求めていないので」と言う哲弥さんは、草取りさえも楽しいと言います。しゃがみこんで草を抜いていると、周囲の草花のささやかな変化に気付くことができるから。蕾が上がってきたな、芽吹きが始まったな……。そのたびに季節の移り変わりを感じ、喜びが胸に湧き上がります。2歳になった息子さんも、庭遊びが大好き。熟したワイルドストロベリーを見つけると、小さな指先でつまんでは口に放り込みます。
庭は、年々変化していきます。今年はシロツメクサが、庭の一角に自然と生え広がりました。「シロツメクサは、痩せた土地が森に変わる前に生えてくる植物なんですよね。短く刈り込んで、土にかえしていくつもり。なるべく自然のサイクルを取り入れながら、無理なく暮らしていくようにしています」と、ひかるさん。
お茶にするミントを摘むひかるさん。おすすめはまろやかなスペアミントと、清涼感のあるペパーミント。
200坪以上ある敷地のほとんどを庭に。
冬の間はDIY。今春に完成したピザ窯で、庭での食事も楽しみが広がりました。次はビオトープをつくる予定。
園芸プレートを付けておくと、何を植えたか忘れないだけでなく、来客にも楽しんでもらえます。
脇田さん夫妻の家は、いつも庭の植物を剪定した花が飾ってあります。哲弥さんが「この枝なら切っていいよ」と、アドバイス。その一枝一花が、フローリストのひかるさんの手にかかり、魅力的な植物装飾に変わります。
夏が訪れると、植物の繁茂はいちだんと旺盛になります。この季節ならではの楽しみは、緑をたっぷりと重ねたスワッグづくり。「緑って、豊かですよね。葉の形も色もそれぞれで、花がなくても十分に楽しいんです」と、ひかるさん。
枝ものだけでなく、背丈まで伸びてきたディルやミントなどのハーブも一緒に束ねます。指先まで香りが移り、すがすがしいひととき。壁に吊せば、緑やハーブの香りがふわりと漂い、目にもさわやか。
ハーブは、キッチンでも大活躍。チャイブはネギ代わりにパスタや納豆に混ぜたり、バジルをジェノベーゼにしたり。摘みたてのハーブがあれば、シンプルな調理法でも五感が満たされます。「サラダやお茶にたっぷり使うだけで、とびきりおいしい!」と2人。
こうして、住まいの中で楽しんだ庭の恵みは、再び庭に戻っていきます。飾っているうちにフレッシュからドライへと変化したスワッグは、土の上に。生ごみはコンポストに。庭から暮らしへ、暮らしから庭へ。その自然な循環が、庭も暮らしも豊かに育んでいきます。
玄関を入ってすぐの土間は、ひかるさんの作業スペース。庭で摘んできた草花を花束やアレンジメントに。
キッチンの窓からも、庭の緑を堪能できます。「これからだんだんと木々が育って、窓の外の眺めが変化していくのも楽しみ」と2人。ゆくゆくは庭先にサンルームをつくりたいと考えているそう。
庭で剪定した枝ものやハーブを中心に、緑のスワッグをつくります。ざっくりと束ねたら、麻ひもや革ひもで結び、壁に吊して。自然にドライになっていく変化も、楽しみのひとつ。
猫のマロンは、10歳。2歳になる息子さんとも仲よし。
庭で摘んだハーブを混ぜて、熱湯を注いでお茶に。すがすがしい香りがパッと広がり、気分転換にぴったり。
花束やアレンジメントをつくる際に払った葉や花がらは、バケツに入れておき、作業が終わったら庭の片隅に運びます。ゆっくりと土に戻っていき、次の季節の堆肥になります。
ひかるさんは名古屋の花店に勤めた後、草花装飾家・フラワー講師として独立。哲弥さんは愛知県春日井市の園芸店で仕入れを担当しながら、日々園芸を楽しんでいる。ひかるさんがメインで草花屋「摘季(つみき)」として活動中。2人で育てた草花のアレンジメントや花束のオンライン販売、植物に関するワークショップなどを行っている。●WEB tsumikiniwa.theshop.jp
イラスト/横山 雄