住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
上野 典行(うえの のりゆき)氏 プリンシプル住まい総研 所長
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。
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第1回「家を買うということ」
住まいは人生で最も大きな買い物。「家を買う」ことは、それだけそれ以降の生活に大きな影響を与えるイベントであり、失敗したくはないもの。そのため、流行のデザインや最新設備がつまった新築に人気が集まりがちです。しかし、新築だけが住みやすいいい家なのでしょうか?実は中古マンションには、多くのメリットがあり、いま熱い注目を集めているのです。今回は、実際に中古マンションに住み替え、リフォームで理想の暮らしを実現した方、収納アドバイザーとして快適なお部屋の提案をしている方にお集まりいただき、中古マンションの魅力や物件選びのポイント、リフォームの工夫や暮らし方のアドバイスなどをおうかがいします。聞き手/プリンシプル住まい総研 所長 上野典行
みなさん一度はマンションを購入された経験があると聞いています。自己紹介も兼ねて、まずはお住まいの話をうかがいましょう。
橋場私は現在、3LDKの戸建賃貸に住んでいます。結婚前に夫が新築マンションを購入していたのですが、52㎡の1LDKと小さな物件で、子どもが生まれて手狭になってしまいました。買い替えも検討したのですが、周辺の相場が高くて買うには手が出ず、所有物件が高く売れるとわかったこともあり、売却して賃貸に住むことを選択したんです。今後、子どもが大きくなったら購入も視野に入れたいなと思っています。
尾崎さんとやまざきさんは中古マンションを購入されているので、きっと参考になるお話が聞けるはずですよ。
やまざき私は築30年のマンションに住んでいます。購入したのは12年前なので、その時点ですでに築深の建物でした。建築時から知っている物件で、駅徒歩1分という稀少さや造りなども魅力でしたが、なにぶん高くて(苦笑)売りに出た時はすぐ内見に申し込みました。橋場さんと同じように、子どもが小学生に入学する年、ライフスタイルが大きく変わるタイミングで住み替えをしたんですよ。
尾崎私は現在のマンションを購入してまだ1年ですが、実は中古物件の購入は、2軒目。1軒目も今回も築40年を超えた物件です。それをリフォームして住んでいます
橋場40年!ブログで写真を拝見すると、とてもそうは見えないですね。どんなお話しが聞けるのか、すごくワクワクします。
新築やほかの中古は検討されましたか?購入を決定づけたポイントや経緯が気になりますね。
尾崎お二人もおっしゃってましたが、新築は高いですよ。特に駅近や人気がある街だと、本当に高い。
橋場私が新築を検討した時は、マンションの建築が盛んだったこともあり、周辺地域では億を超えてました……。
やまざき私が購入した物件も、億まではいきませんが、東京都内の駅前物件なので新築時は高かったですね。
尾崎駅徒歩1分の物件って、徒歩10分以内の場所の中では100倍の希少価値があることになるんですよ。さらに人気の立地だと、駅前にはほぼマンションが建っていますから、新築物件が出ません。出ても超高額。
なるほど。駅近の好立地などでも手の届く物件が見つかる、というのも中古の魅力のひとつですね。でも築年数が30年以上も経っていると、建物自体の価値はないでしょう?
尾崎それも価格に反映されますから魅力ですよね。
やまざき新築だと6000万円が相場の立地でも、中古だと半分くらいで買えますね。差額をリフォームに回せます。
橋場そんなに違うんですね!でもリフォームには差額の全額を使うほどはかからないですよね。
やまざきもちろん(笑)うちは和室を洋室に変更し、扉と壁紙を取り替え、内装にちょっと手を入れたぐらいかな。水回りは前の所有者が修繕していたので、そのまま使っていました。
尾崎私はほぼ全面リフォームをかけました。でも新築が買えるほどお金はかけてません。私はインテリアデザインを学んでいましたし、建築関係の仕事にも就いていたので、中古でもリフォームをかければ、内装は美しくなると知っていたので、中古を買う不安はありませんでした。実家や夫には「築40年の家を買うの!?」と驚かれましたけど。
橋場でも今のお住まいを見ると、新築同様というのは納得できますね。
中古物件を探す際に重視したポイントはどこでしたか?
尾崎まずは立地ですね。1件目は建て替えになったので、買い替えることになったんです。その際、立地が良かったので、買ったよりも高く売れました。建て替えた物件を保持して住む選択肢もありましたが、敢えて買い替えをしたのは、似たような駅近の物件が見つかったから。今の家も建て替えにはなるでしょうが、10年くらいは住みたいですね。
やまざき立地がいいと値段が下がりませんよね。私は住み替える気はないのですが、そこは重視しました。あと住んでいる方に話を聞けるのが大きいですね。「見た目は豪華だけど住みにくい」とか「音が響きやすい」とか。管理人にも話を聞けますし、管理の様子も見ることができます。これは暮らしのイメージが描けるので大いに参考にしました。
掲示物などを見て、「騒音注意」とあれば「そういうトラブルがあるんだな」と分かりますよね。新築だと全員がほぼ同じスタートラインで入居を始めるから、暮らしは未知数ですもんね。
尾崎新築って、買う人はモデルルームくらいしか見ていない。よく見せようと、モデルルームに使っているのは、とても高価な家具だと聞きます。ライフスタイルって変わっていくから、ずっと同じようには住めませんよね。だから新築で買うにしても、良い住み心地のためには、後のリフォームも予算に入れる必要があります。それって、大きな負担になることも。
橋場でも日本は新築を好む風潮がありますね。夫もそうなんです。そこで意見が食い違って……。
やまざき私は最近、水回りをリフォームしたんです。2回目のリフォームですね。資金に余裕を持たせながら、柔軟に計画を立てられるのも中古のいいところかな。新築だとローンだけでも大きいですよね。
尾崎今は三男の部屋がないのですが、長男が家を出たらリフォームして作るか、なんて計画を立てています。新築に比べれば少ない予算で購入して住み始められるので、夫を「古いけど、これだけお金に余裕ができるから、教育資金にも余裕ができる」って説得しました。ほんと、学費ってかかりますからね。
単純に「安い」「好きにリフォームできる」というだけじゃなく、中古なら安定したライフプランを立てることもできやすいということですね。尾崎さんは「手放すときのことまで考えて購入を検討する」とおっしゃってましたが、これは新しい考え方ですね。
やまざき中古だから、新築だから、という理由だけでなく、「どれだけ自分のライフプランに合わせられるか」を考えたほうがいいですね。
なるほど!では次回はみなさんが、実際にどのようにリフォームをされたのか、ママとして収納にどんな工夫をされているのかをおうかがいすることにしましょう。
プロフィール
※プロフィールは、取材当時のものです。
上野 典行(うえの のりゆき)氏 プリンシプル住まい総研 所長
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。