住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第11回本当に住み心地のよい家とは?(概論編)
中西 ヒロツグ(イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士)
「家は3回建てないと満足できない」とよく言われます。暮らして初めてわかる不便や不具合の多さは、その家での暮らしをきちんとイメージしきれていなかった証拠かもしれません。ましてや初めて住む場所となると、その土地の環境や生活習慣など、新しい暮らしに慣れるまでにしばらく時間が掛かるのはやむを得ないことです。古くなれば建替えられた景気の良い時代ならまだしも、3回も家を建てるにはお金がいくらあっても足りません。
そこで、もっといい方法があります。それがリノベーションです。
リノベーションの最大のメリットは、すでにそこに建物が建っていることです。今までそこに暮らしていた人なら周辺環境を熟知しているので、日当たりの良い場所や心地良い風の流れを体で覚えています。家の良いところや悪いところもよく理解しているので、要望がより明確になります。新たに中古住宅を購入した場合でも、すでに建物があるので、実物で陽当たりや風通しが確認でき、具体的な生活をイメージしながらのプランニングが可能になります。
家づくりの満足度で比較すると、新築住宅の計画は「プラス」からのスタートになります。夢を抱いて始めた家づくりが、コストや法規、構造など、様々な制約から、理想が現実となるに連れて徐々に満足度が下がってしまいます。最終的に妥協で完成した時には、当初の夢とのギャップが不満となって残るのです。
一方、リノベーションの計画は「マイナス」からのスタートです。そもそもたくさんの不満や不便、不具合をたくさん抱えている家が、ひとつひとつ改善していくことで、徐々に満足度が上がっていきます。さらには諦めていた夢も、アイデア次第で予想以上の結果が生まれるので、最終的にとても満足度の高い住まいが実現できるのです。つまりアイデアと工夫次第で、3回建てなくても自分らしい住まいが手に入れられる、それがリノベーションなのです。
そもそも家は出来た時が完成ではなく、住む人とともに育てていくものです。環境と調和しながら、長く愛着を持って手を加えていくことで、満足のいく自分らしい住まいに育てて欲しいと思います。
イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士
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※プロフィールは、取材当時のものです。