家づくり、街づくりを通じて考えるSDGs

創業者 松下幸之助の想いは、
SDGsの取り組みの原点でもあると考えています。
パナソニック ホームズは、その想いを引継ぎ、
家づくり、街づくりを通して、
人々の豊かな暮らしを支えていきます。

公開日:2024/03/07

ライフステージに合わせて柔軟に働き、キャリアを築くことができる建設現場を目指す、施工管理職の働き方改革。

●左:執行役員 建設担当(兼)建設部長
中村 光良
●右:東京支社 第四工事センター
藤井 晶子

※記事に掲載の役職名、商品・サービスについての内容は公開時点の情報になります。

関連するSDGs

  • 質の高い教育をみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 人や国の不公平をなくそう
  • パートナーシップで目標を達成しよう

一人ひとりの働きやすさを高めることが、住まいの品質やお客様満足の向上へつながると考えています。

建設現場2019年に施行された「働き方改革関連法」に従い、日本全体の労働環境を改善するための取り組みが進行中です。中でも、私たちのような建設業界や家づくりのための資材運搬などで協業が欠かせない物流業界など、一部の業種では時間外労働の上限規制が猶予されてきましたが、2024年4月1日からはそれが撤廃され、罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることになります。このような背景に加え、昨今の少子高齢化や人口減などを起因とした人手不足問題などの課題もあり、私たちハウスメーカーを取り巻く環境はとても厳しい状況です。当社が働き方改革を積極的に取り組むことは、当社の社員のみならず、家づくりに欠かせない外部の協力会社や職人のみなさんの働く環境の改善にもつながり、課題解決への一助となるのではないでしょうか。
パナソニック ホームズでは、一人ひとりの働きやすさを高めることが住まいの品質やお客様満足の向上へつながると考え、労働環境改善や女性活躍推進、仕事とプライベートの両立支援に重点を置いた、働き方改革に取り組んでいます。
特に今回は、職人さんや社外の協力会社との連携が欠かせない職種である現場監督の働き方について、建設部門の部長であり当社執行役員を務める中村光良と東京支社で女性現場監督として日々奮闘している藤井晶子による対談を通じて、当社における施工管理職の働き方改革の取り組みや、仕事のやりがいなどについてご紹介します。建設部は営業や設計、工場、お施主様、職人さんなど、社内外の多くの人と関わりながら、図面を元に住宅が完成するまで、建設現場での指導や監督業務を担当します。その中で、現場監督は多様な協力会社のみなさまと一緒に、高品質な住まいを実現しています。そのような職種において、当社では全国で20数名の女性が現場監督として従事しています。男性はもちろん彼女たちがさまざまなライフステージに合わせて長期にわたって活躍できるように、会社では支援体制の強化や、キャリアアップの機会の提供、働きやすい環境の整備に取り組み、ライフステージに応じた柔軟な働き方の実現を目指しています。そのために、本社と現場が風通し良く話し合い、仕組みや体制づくりについて検討・改善が進められています。

時代の要請に伴い、様々な課題がありますが、「変化の機会」であると捉え、より良い働き方を実現できるよう検討を進めています。

藤井晶子現場監督は、他の多くの職種と比べて、社外の職人さんやお客様と密接に関わりがあることが特徴です。複数の現場を同時に担当するため、電話でのやりとりも多く、曜日に関係なく業務連絡が入ります。そのため、私たちはお客様、職人さんとの連携を維持しながら、現場監督自身の公私のバランスをどのようにとっていけばよいのか、より良い方法を模索しています。具体的には専用アプリなどを使うことで平時から各建築現場の状況を見える化し共有する、バックアップ体制の強化により休日や緊急時にはコールセンター対応ができるようにするなど、様々な対策を検討・実行しています。また、現場監督としては自分たちの働き方を改善するだけでなく、共に働いていただく職人さん方の働き方にも気を配らなければなりません。特に、職人さんの労働時間管理が重要な課題であり、施工業務の単価や工期など個々の事情を考慮しつつ、関連部署と連携しながら対策を進めています。このように、個々の業務負担を軽減し働きやすさや働き甲斐を高めるためには、施工管理においてデジタル技術を活用することが重要な手段となります。将来的には、遠隔での管理や監督が可能になれば、現場間の移動時間の削減をはじめ、さらなる業務効率化を図ることができると考えています。ただし、これらのツールが人による細やかな監督と同じように高度なレベルで、職人さんも含めて全員が効果的に使いこなせるようになるまでには、ある程度の時間が必要になるとも考えており、これに対して、レクチャーを細やかに継続していくための体制も必要であると思っています。

中村光良

また、現場監督の仕事は、人間性がとても大切です。多くの人と関わり、耳を傾け、限られた時間の中で最適な判断をしていくことが重要なので、そのような人材を育成していくための取り組みにも力を入れています。現場監督の業務は特殊で、現場の業務を体感させ、「見て覚える」ことを目的としたOJT(On-the-Job Training)だけでは理解するのが難しい部分があります。特に若手社員においては毎年一定数の新卒採用社員が配属されるため、彼らが早く業務に慣れるよう、研修内容や現場での育成方法について、常に工夫を重ねています。
また、働き方改革に取り組むにあたっては、考え方の違いに気後れすることなく、みなさんから意見を聞かせてほしいと思っており、藤井さんが力を入れている建設現場担当の女性部会での情報交換をはじめ、階層別研修の実施によりさまざまなレベルの社員から要望や意見を集め改善につながるように働きかけています。みんなが会社をより良くするために意見と重ね、本社も現場の皆さんも一丸となってより良い方向へ進んでいけるよう取り組みを重ねています。

施工管理職について理解を深めるための取り組み

学生にアドバイスを送る設計士

●インターンシップ

パナソニック ホームズでは、家づくりの魅力と働きがいを伝えるためのインターンシップを開催しています。その中で、学生が自分自身の将来像をしっかりと描くことができるようなプログラムを提供しています。ハウスメーカーの仕事は、様々な職種と人が関わってできること。業界や当社をしっかり理解した上で「ここで働きたい」と感じてもらい、そのうえで当社に魅力を感じていただいて志望していただけるために重要な取り組みだと考え、採用担当者だけでなく、営業部門、設計部や建設部などが協力し、実施しています。

インターンシップのプログラムを担当
●左:人事戦略部 採用課 七沢 枝実
●右:設計部 設計人材開発室 井上 みを

具体的には、当社の経験豊富な設計士の指導のもとで、住宅設計の魅力と実際の作業体験をプログラムに盛り込み、家づくりに携わる様々な部門の社員との意見交換会なども行っています。2023年からは国によるインターンシップについてのガイドライン変更に従って、設計だけでなく施工管理にも焦点を当て、両方の取り組みを学ぶことができるようインターンシップの内容を改めました。これにより、設計士を目指す学生も施工管理職の重要性が理解できる内容になり、ハウスメーカーの仕事についてより実践的な体験が得られ、住まいづくりの魅力が伝わる内容であると、参加者から評価されています。

インターンシップ受講者の声

施工管理職の働きがいを知ることができた。コミュニケーションアプリや女性目線で保護具を採用するなど感銘を受けた。お客さまの理想の住まいづくりをお手伝いしたい。

想像以上にお客さまに寄り添って設計すること、パースや図面を手書きで表現する技術など多くの気づきが得られた。お客さまに親しみを感じてもらえる設計士になりたい。

エキスパートデザイナーによるアドバイスやデモンストレーションに圧倒されました。設計のプロフェッショナルの素晴らしさを体感でき、有意義な時間でした。

●配属前研修

設計部門と施工管理職の配属社員が共に、設計と施工管理の両方の知識を習得できる入社後3年間の継続した研修を実施しています。講座などの座学だけでなく、現場や工場への訪問を通じた実地学習や、実務に則した計画図の作成など、実践的なスキル習得の機会を多数提供しています。他には、マナー研修やレジリエンス研修など、外部講師を招いた研修も行っています。
さらに、社内の多様な部署と連携し、他部署の業務を経験できる体感研修も実施しています。先輩社員がチューターの役割を担い、新入社員が職場での問題や悩みについて相談を受け、解決をサポートするなど、風通しの良い組織風土を継承するための取り組みも欠かせません。そのような研修を経て、会社として、部署や役職、年齢などに関係なく、社員の挑戦を支え合い、一人ひとりが安心して活躍できる環境づくりを目指しています。

入社1年目「配属前研修」における1週間の履修スケジュール(一部抜粋)
工事監理研修
(講義)
工事監理研修
(現場)
基礎配筋講義 工場見学 配置確認研修 仮設計画
仮設計画図作成
仮設計画 現場トレーナー
施工管理アプリ
操作説明
公休日 公休日
入社1年目「配属前研修」における
1週間の履修スケジュール(一部抜粋)
工事監理研修
(講義)
工事監理研修
(現場)
基礎配筋講義 工場見学
配置確認研修 仮設計画
仮設計画図作成
仮設計画 現場トレーナー
施工管理アプリ
操作説明
公休日
公休日

1人の行動が、女性活躍を推進し、組織や企業文化の変革につながる。

藤井さんは、旧東京東支社で初めての女性現場監督として2018年に入社しました。忙しい日々を過ごしながらも、自分の経験を活かしてみんなの働く環境を良くしたいという想いから現場監督の女子部会を立ち上げ、積極的に活動しています。当社では、女性現場監督が初めて誕生してから10年が経過しました。現在では全国で約20名の女性監督が活躍しています。藤井さんは、東京支社でともに働く同僚や後輩の女性監督たちと食事会を開催するなど、現場での課題やキャリアプランについて情報を共有する場を積極的に設けています。現在ではこの会が埼玉や神奈川など首都圏全体に広がり、同じように現場監督として働き、様々な悩みを抱えた女性たちの意見交換の場となりました。最近では、みんなの意見を集約して本社に女性向け工務服の提案を行うなど、現場と本社をつなぐ大切な架け橋となっています。

藤井さんと、建設に携わる大工さん
藤井さんと、建設に携わる大工さん

また、藤井さんは個人の働き甲斐を高めるための情報収集も積極的に行っています。多くの女性現場監督が、今後も現場監督の業務を続けたいと考える一方で、個人のライフステージなど中長期的な視点で考えた場合に、社内の新たな職種への挑戦も選択肢として検討したいという思いを抱いています。女性が働き続ける中で、産休や育休などに備えておくことは重要だからです。しかし、他部門の業務について十分な理解がないため、自分がそのような場面を迎えた時に、他の職種へ挑戦できるのかという不安もあります。そのような課題感から、人事部に他部門の取り組みを紹介する勉強会の実施を依頼し、実現に至りました。
藤井さんは当社の魅力について、「一般社員の立場であっても組織や肩書に関係なく話をきいてくれる風土があり、ありがたい」と感じています。

お施主様とのお付き合いを通じて、人間的に成長できることと、
住まいづくりの喜びを共に味わえることが、施工管理職のやりがいです。

藤井さんは「お施主様とのお付き合いを通じて、人間的に成長できることと、住まいづくりの喜びを共に味わえることが、施工管理職のやりがいです。」と話します。
現場監督は、お施主様やそのご家族と約4~5か月にわたって信頼関係を築いていきます。時にはご家族間での意見の違いにも寄り添いつつ意見を理解し、監督自らの裁量で施工を管理することで、最終的にお客様が満足する住まいをお届けすることに全力を尽くします。この仕事は、一般的な職業では経験できないような大きな意義と責任を伴うため、人間として大きな成長の機会でもあると藤井さんは考えています。「住まいが完成したときにお施主様から感謝の言葉をいただけたときには、他の何とも比べられないほど大きな喜びがあります。これが、私たちが施工管理職を続けていく原動力となっています。」

藤井晶子

施工管理職の経験が、他の業務での活躍につながる

●施工管理職とは

一般的に、建設現場において施工の全体管理を行う仕事をいいます。お客様が、営業や設計士と検討を重ねた図面を、現実の住まいとしてカタチにする仕事です。その過程では、建設現場に行っての業務だけではなく、例えば遠隔管理、各種報告書の作成、お客様への連絡等も含まれます。さらに、様々な職種の協力会社と連携し、現場を安全かつ正確に進める責任も担っています。

様々な関係者との調整や連携を通じて
住まいづくりを進めています。

●施工管理職のキャリアの可能性

施工管理職の経験を活かして、他業務で活躍している社員の声をご紹介します。

舟橋 洋太朗

小学生のころから設計士に憧れがあり大学では建築を専攻しました。大学時代に現場を学びたいと思い、アルバイトで現場監督の仕事を経験したことから、直接家づくりに関わる現場監督に魅力を感じパナソニック ホームズに就職しました。最初は神奈川支社に所属し、お施主さま、会社の仲間、職人さんと多くの方々にご協力やご指導をいただき、かけがいのない経験をたくさん積ませていただきました。入社6年目にPLTグループの松村組で一般建築の現場監督を経験するチャンスをいただき約2年、一般建築における管理手法を学びました。現在は当社の営業戦略部に所属し、営業本部方針やエリア戦略策定業務に携わる中で、営業前線で働く方々のための環境づくりに力を注いでいます。今後はこれらの経験を活かして、本社と支社をつなぐ役割を担っていきたいと思っています。
営業戦略部 営業戦略課 舟橋 洋太朗(2015年入社)

荒川 恵里奈

家具職人だった祖父の影響で幼いころから家づくりに興味を持っていました。インターンなどにも参加し、当初は設計士志望ではあったものの実際に家を作り上げていく現場監督として当社での仕事をスタートしました。現場監督の仕事は多くの方と関わり充実していましたが、休日も対応が必要なこともありワークライフバランスの両立は難しくもありました。そこで、結婚を機に上司と相談し、現場のみなさんを支える管理業務の担当として主にオフィス業務の職に移りました。現在は建設現場を助けるDXの推進や安全・品質管理などに携わり、現場の業務改革を進めています。また、藤井さんと共に女子部会を運営しており、他の女性施工管理職とお互いの悩みを共有する場を設け互いの視野を広げるための取り組みも行い、今後も建設部の維持発展に貢献していきたいと思っています。
首都圏設計・建設センター 埼玉建設部 建設管理センター 荒川 恵里奈(2018年入社)

北川 良太

大学で建築学科を専攻するなかで、お客様と直接やりとりができ、家のお引渡しまで関わり続けることができるハウスメーカーに興味を持ち、パナソニック ホームズに入社。戸建住宅、集合住宅などの現場監督として配属され、約10年間務めました。日々、お客様や現場で働くみなさんと対話して仕事を進めていく中で、現業にも通じるコミュニケーション力が得られたと実感しています。次世代の事業責任者向け研修を受講したことをきっかけに、同じPLTグループの松村組に出向。一般建築の監督業務を経験し、パナソニックの推進する街「Suita SST」など3年間現場監督を務めました。この経験をきっかけに、都市開発についても視野が広がり、現在は戦略企画室で都市開発事業の担当として当社の街づくりが円滑に進むように企画をしています。社会的に住宅着工戸数が減少していく中で、将来はこれらの経験を活かし、当社が持続していくための新しい事業を見出していけるような役割を果たしていきたいと思っています。
戦略企画室 主幹 北川 良太(2009年入社)

※PLT(プライム ライフ テクノロジーズ)グループとは、未来志向のまちづくりを⽬指して2020年1⽉にパナソニックとトヨタ⾃動⾞により設⽴されたホールディングス会社です。事業会社としてパナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム、パナソニック建設エンジイアリング、松村組の5社が参画。各社が連携してまちづくりをすすめ、グループ内での人事交流も行われています。