家づくり、街づくりを通じて考えるSDGs

創業者 松下幸之助の想いは、
SDGsの取り組みの原点でもあると考えています。
パナソニック ホームズは、その想いを引継ぎ、
家づくり、街づくりを通して、
人々の豊かな暮らしを支えていきます。

公開日:2024/07/05

くらし文化を創造するハウスメーカーだからこそ、地域のみなさまと共に、持続可能な街の在り方を考えたい。(学校支援活動について)

※記事に掲載の役職名、商品・サービスについての内容は公開時点の情報になります。

関連するSDGs

  • 質の高い教育をみんなに
  • 住み続けられるまちづくりを
  • パートナーシップで目標を達成しよう

全ての人々の生活を守り、持続可能な街づくりの実現を目指して。当社ではSDGs人材育成を目指す学校授業の支援も行っています。

「住まいは人間形成の道場」。これは、私たちパナソニック ホームズの創業者である松下幸之助が残した言葉です。この言葉には、住まいを単なる生活の場ではなく、人間の成長や人間形成の場として大切に考えなければいけないという想いが込められています。街は住まいが集まり形成され、人々は地域社会で協力しながらその街を維持していきます。SDGsにはゴール11に「持続可能なまちづくりを」という目標があります。これは、「住居に関する問題」に焦点を当てた目標で、性別や年齢、障害などの有無に関係なく、すべての人が安心・安全な暮らしができる環境づくりを目指しています。このSDGsゴール11は当社が取り組むべき一番重要な目標であるだけでなく、他の17の目標にも密接に関連しています。「世界中すべての人が一致団結して目的を達成する」ことが理念のSDGs。人のくらしが営まれる住まいを生業としているからこそ、私たちハウスメーカーが企業として、SDGsの達成に向けて多方面から対応することは重要です。今回は、SDGs達成に向けた様々な取り組みの中から、学校支援の取り組みについて考えてみたいと思います。

SDGsゴール11

なぜ、企業が学校授業を支援するのか。次世代人材育成の重要性についてのキーワード「ESD」とは。

気候変動や資源の枯渇、絶滅危惧種の増加、貧富の差の拡大など、世界は今、多くの課題と向き合っています。SDGsはこれらの課題を、世界中すべての人と共に解決することを目指しています。また、これは2030年で解決される取り組みではなく、 2030年以降も「持続可能な社会」を実現し続けるための活動でもあります。そのためには、常に課題を見つけ、様々な手段で解決策を見いだせる力が重要です。このような人材育成の考え方が、「持続可能な開発のための教育(ESD= Education for Sustainable Development)」です。
ESDは、SDGsが採択される以前の2002年に開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」において日本が初めて世界に向けて提唱し、同年開催された「国連総会」では、『国連持続可能な開発のための教育の10年(2005-2014年)』と題した国際枠組みが全会一致で採択。ユネスコ(国連教育科学文化機関)を主導機関として国際的に推進されてきました。2015年の「国連総会」でSDGsが全会一致で採択されて以降は、SDGsに関連する様々な課題を解決に導くための人材育成指針としてさらに注目され、2019年に開催された「ユネスコ総会」では、『持続可能な開発のための教育:SDGsの実現に向けて(ESD for 2030)』として新たな国際枠組みを提案。現在、その指針に基づいた教育活動が世界各国で推進されています。

SDGsの目標4ターゲット7の「教育を通してSDGs達成に貢献する」に位置付けている
文部科学省「持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引」を元に作成

日本では「ESD for 2030」を受けて、2021年に教育分野を管轄する文部科学省に加え、環境省や経済産業省などを含む関係省庁が横断的に連携し、「第2期ESD国内実施計画」を策定。ESDがSDGs達成への貢献に資するという考え方を明確にしました。
この中でESDの実践を目指し、多様なステークホルダー(自治体、企業、NGO/NPO、研究・教育機関など)を巻き込むこと、「ESD for 2030」に示された5つの優先分野に基づき、ステークホルダーごとの具体的な取り組みなどが示され、持続可能な社会の創り手育成に向けた活動がスタートしています。これらの取り組みが、学習指導要領が適用される学校全て(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)で2000年から段階的にスタートしていた「総合的な学習(探究)の時間」の目的と合致し、ESDの一環として、企業や地域社会が積極的に関わって実施される授業として発展。高等学校では2022年度より、「総合的な学習(探究)の時間」は必須科目となっており、今後ますます教育分野と企業団体との連携が深まっていくでしょう。

ステークホルダー(利害関係者)ごとの
具体的な取り組み〈5つの優先行動分野〉

ステークホルダー(利害関係者)ごとの具体的な取り組み<5つの優先行動分野>
参考/令和3年5月 文部科学省・環境省「第2期ESD国内実施計画 ~SDGs達成のための教育の推進~」

当社では学校や地域企業との連携により、生徒の課題やニーズに合わせたSDGs教育を実施しています。

このような背景の中で、近年はパナソニック ホームズにも「総合的な学習(探究)の時間」などに関連する様々な要請をいただき、各地の営業部隊と本社部門が協力して小中高等学校の授業支援を行っています。主に、街づくりや住まいに関する内容ではありますが、地域ごとの課題を伺い、防災や空き家、街づくり、設計など当社事業に関わる様々な切り口で学びを提供しています。ここでは、その取り組み事例をいくつかご紹介いたします。

①進路や将来なりたい自分を考える学習

・職場体験

湖東とつくばの工場、全国各地のショウルーム「住まいとくらしの情報館」や各地の住宅展示場では、見学やワークショップを実施。ハウスメーカーの仕事、家づくりの魅力を学ぶ体験授業に協力しています。

展示場見学風景
工場見学風景
工場見学風景
ショウルーム見学風景
ショウルーム見学風景
ショウルーム見学風景

・職業講和

社員個人の進路選択や、建築士・宅建士など専門資格を持つ社員の当社で働くまでの取り組みやキャリアパスなどをお伝えする活動も行っています。

社員による講和風景
社員による講和風景
建築士資格を持つ社員とのディスカッション風景

③地域の課題をふまえた学習

・東京都「不燃化特区」にある中学校との取り組み

東京都の「不燃化特区」に該当する足立区にある千寿桜堤中学校との取り組みは2023年から始まりました。初回の取り組みでは、当社の錦糸町展示場に中学1年生10名を招き、防災と間取りをテーマに学びました。事前にご自宅の間取りをご家族のみなさんと確認いただき、当日は展示場の見学、グループに分かれて理想の間取り作成体験、ハウスメーカーのお仕事紹介、防災クイズなどを実施。このカリキュラムは、東京支社、住まいとくらしの情報館つくば、渉外部、設計部、SDGs推進事務局が連携し企画しました。同校との取り組みは翌年も引き続き実施され、生徒のみなさんがくらす地域課題(不燃化)と密接して、当社の災害に強い住まいの重要性を中心に、学びを深めていただいています。参加された生徒のみなさんからは、「ここで得た経験や知識を、家族や周囲の人に伝えたい」と言っていただきました。当社が日常の事業活動の中で心掛けている、災害に強い家づくりの重要性を伝え、広げる活動の一環にもなりました。

●2023年、当社展示場での「ワークショップ」の様子
2023年、当社展示場での「ワークショップ」の様子
●2024年、中学校に出向いての授業風景と、生徒による発表スライド
2024年、中学校に出向いての授業風景と、生徒による発表スライド

・兵庫県立長田高等学校と「持続可能な街づくり」を考える取り組み

兵庫県立長田高等学校普通科の「総合的な学習(探究)の時間」では、2020年から同校唯一の企業パートナーとして当社と「持続可能な街づくり」や、生徒個人の希望進路にまつわる興味に対して学ぶ取り組みを、兵庫県内の当社分譲地を舞台に実施しています。その内容は、家の間取り設計やランドスケープ、環境対策、集客PRなど多岐にわたりますが、当社の街づくり技術部、街づくり事業企画部、R&Dセンターくらし研究室、品質・環境部が連携し、ともに学びを提供しています。

2022年、「ワークショップ」の様子
2022年、「ワークショップ」の様子
2024年、当社分譲地「パークナードテラス神戸みずき台」見学風景
コミュニティコテージでの説明
コミュニティコテージでの説明
里山の散策

学生の質問や感想

学生

進路としてはあまり興味のない分野かと思っていたが、今日の話を聞いて建築分野も面白そうだと思った。

学生

計画から実現までの流れを明確にして、その中で問題点をどんどん出していきながら解決方法を練り上げていくといった流れがよくわかった。

学生

街づくりを行う上で、その土地の自然環境を生かした土地形成や街をテーマパークの様に5つの地域に分けるなどの様々な工夫で住む人に愛され、安心してもらえる街づくりを行っていることが分かり、当たり前にある街はこのような多角的な工夫でできているのだと驚いた。

先生の感想

先生

2020年から継続して支援いただき、年々、生徒の探究力が伸びていると感じています。探究活動を継続する上で様々な意見もいただき、教員としても大きな刺激を受けています。

・神奈川県横浜市で「空き家問題」を考えた高校生との取り組み

神奈川県立岸根高等学校では生徒の住む学校周辺地域での課題について、自分たちで解決策を考え、関連企業にプレゼンテーションしたのち企業ではその課題にどのような対応をしているのかを調べる「実地調査」を実施しています。2023年、当社は地元の金融機関「横浜信用金庫 六角橋支店」を通じて、この取り組みの支援依頼を受けました。新築営業部門(パナソニック ホームズ(株)神奈川支社)、ストック営業部門(パナソニック リフォーム(株)首都圏支社、パナソニック ホームズ不動産(株)神奈川住宅流通センター)の社員が連携し、生徒のみなさんが考えた課題「空き家問題」の解決についてディスカッションを行い、学校から近いエリアで実際にご確認いただくため買取再販物件をご案内しました。空き家の発生には税制や相続などの問題があること、買取再販という選択肢があり、企業が責任を持って次の住み手の方に住まいをつなぐビジネスがあること、リフォームを行うことで古い住まいを再生し、時代や新しい住み手に合った暮らし方提案ができることなどをお知らせしました。当授業に関わった社員からも、「当社事業の社会的意義について再認識した」などの意見が聞かれました。

当社「買取再販」物件でのディスカッション風景

学生の質問や感想

学生

空き家問題は想像以上にさまざまな要因があって、いろんな課題が絡まった複雑な問題なのだと理解できました。改善点も気づきました。

学生

住宅メーカーがさまざまなSDGsに貢献していると驚きました。多くの人に知ってもらうことが、社会全体でSDGsの意識を高めることにつながると感じました。

学生

家を建てるだけでなくさまざまな貢献があると知り、お話が聞けてよかったです。家族が建築系の仕事をしており、将来は私もその職に就きたいと改めて思いました。

先生の感想

先生

学校はこれまで学力の向上に努めてきましたが、近年では専門知識が必要な多様な学びが増えてきました。これに対して、私たちだけでは生徒に十分な学びを提供できなくなっており、企業のみなさまからの協力が不可欠です。しかし、私たちには企業とのつながりが少ないことが課題でした。横浜信用金庫に地元企業とつないでいただき、生徒たちに深い学びの機会を与えられたことが、とてもありがたかったです。

地域社会と連携して共に考え学ぶことは、私たちの成長にもつながります。

前述でご紹介した神奈川県立岸根高等学校との取り組みは、パナソニック ホームズ(株)神奈川支社と横浜信用金庫との日ごろのパートナーシップから実現したものです。
内閣府では、少子高齢化に伴う人口減や環境課題の改善など、地方創生に向けた地域のSDGs推進に伴うビジネスに一層の資金が投入され、地域における自律的好循環が形成されることを目指し、2018年に「地方創生SDGs・ESG金融調査・研究会」を設置しました。その中で、「地方創生に向けたSDGs金融の推進のための基本的な考え方」をとりまとめ、地域事業者におけるSDGs推進活動の見える化策として、「地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドライン」を策定・公表しています。横浜信用金庫が活動する横浜市でも、地方創生SDGs登録・認証制度“Y-SDGs”を推進。この認証を取得した事業者は、横浜信用金庫をはじめとする地元の金融機関より、SDGsや脱炭素、環境問題等への積極的な取り組みを支援することを目的とした融資や、SDGs経営のアドバイス、新たな企業とのビジネスマッチングなどを受けることができます。パナソニック ホームズ(株)神奈川支社も、この“Y-SDGs”を2020年に初めて取得しており、今回の神奈川県立岸根高等学校の授業支援はそのご縁から当社にお声かけいただいたものです。
この取り組みを推進された横浜信用金庫 六角橋支店長の村田さんは、横浜信用金庫の取引先である地元事業者がSDGs推進やESG経営に関心を寄せる中で、「やはり中小企業の限られたリソースの中で当金庫のサポートは必須だと考えています。例えば人手不足の課題について地元の学校とつなぐ意義は大きいし、地域のくらす環境の課題をリアルにあぶりだすことができ、それを地元企業と共有することは新たなビジネスの種にもなるでしょう。またY-SDGsを取得した企業と企業をつなぎ横展開することで企業価値を高めることが、取引先の新たな事業や投資を生み出し、地域社会の持続的な発展につながります。」とおっしゃいます。
金融機関が教育機関や地元事業者のハブとなることで、地域の活性化と持続可能性を図っていくこのような取り組みに、今後もパナソニック ホームズグループとして積極的に関わっていきたいと考えています。そのような連携から、当社が営業活動を行う地域における住民のみなさまの課題の本質を理解し、事業を通じてどのように貢献できるのかその手立てを考えるきっかけにしたいと思っています。

地方創生SDGs 金融の目指す姿

地方創生SDGs金融の目指す姿
内閣府「第6回地方創生SDGs金融オンラインセミナー」資料を元に作成