住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
公開日:2023/09/14
関東大震災から100年。パナソニックホームズと戸越銀座商店街が共に挑む、防災を中心にした持続可能な街づくり
東京支社城南支店 戸越不燃化プロジェクト
2代目リーダー
山中 滉生
戸越銀座商店街連合会 会長
山村 俊雄様
※記事に掲載の役職名、商品・サービスについての内容は公開時点の情報になります。
関連するSDGs
地域に密着した課題に着目し、
当社が住まいを通じて果たすべき責任を考えました。
日本はその位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国です。世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、活火山数7.0%、死者数0.4%、災害被害額18.3%など、世界の0.25%の国土面積に比して、非常に高いことが統計上の数値でもあらわされています※1。
私たちパナソニック ホームズは、災害の多い日本において、当社の住宅にお住まいのお客様とその周辺住民の皆さまが安全な街で安心してくらし続けていただくために何ができるのかを考え、家づくり・街づくりにおいての「防災」はもちろん、地域住民の皆さまへの啓発活動も行ってきました。その1つが「不燃化特区」のある東京都の戸越銀座商店街における取り組み。不燃化特区とは、狭い路地に木造住宅が密集し、地震発生時の倒壊や大規模火災が予測される地域で、東京都でも東日本大震災を機に徐々に整備が進められています。当社ではこの「不燃化特区」における住宅課題の解消を目指し、地域密着で防災への啓発活動に携わる社内プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、戸越地区の住民と強固なつながりを持つ戸越銀座商店街連合会と連携し、イベントを通じて不燃化特区の住宅支援制度の周知を図りながら地域の防災力を向上させる取り組みを展開し、現在も続けられています。
そのきっかけは、当時の関東・東北営業本部長だった高橋(現 取締役常務執行役員)が、社内で挙がった「不燃化特区」に対する住宅課題についての現状を知ろうと考え、数人の社員とともに戸越地区周辺の街を実際に歩き、現地を視察したことに端を発しています。高橋自身はかねてより、阪神・淡路大震災が発生当時に災害支援に携わった自身の経験から、頑強な構造を持つ当社の住まいを1棟でも多くのお客様にご提供することが「事業を通じた社会貢献になる」と考えてきました(当Think SDGs vol.0参照)。何よりお客さまに対して「生涯おつきあい」を掲げる会社として、住まいを通して、災害を防ぎ持続可能な社会への貢献が住宅会社としてのお役立ちであると考えた結果、志を同じくする東京地区の社員が中心となって、「戸越不燃化プロジェクト」を立ち上げることになりました。
※1 内閣府|内閣府防災情報 https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h17/bousai2005/html/honmon/hm110000.htm
商店街の皆さまの寛容さに感謝して、共に取り組みを具現化。
防災をテーマに活動を進化させてきた7年間。
一方、私たちが伺うずいぶん前から、戸越銀座商店街では30年以上にわたり、周辺地域の防災に強い街づくりを目指して活動されていらっしゃいました。商店街全体で様々な取り組みを実施し、自治体への提言も積極的にされています。しかし、商店街を運営する連合会の皆さまや古くから営業されている商店主さまが高齢化し、後継者が不足しているという課題も抱えており、継続的な取り組みが難しい状況であるということも知りました。
そこで私たちは、防災力向上と地域活性化の両方を目指す防災イベントに対し企画から参画し、若手を中心として取り組みをお手伝いさせていただきました。商店街の皆さまは私たちの提案を快く受け入れていただき、「戸越不燃化プロジェクト」の活動はスタート。以降7年が経ちますが、プロジェクトメンバーが入れ替わったり、新型コロナウィルスが流行したりと状況の変化はありながらも、戸越銀座商店街の皆さまとのつながりは絶やさずに続けてきました。
昨年、コロナ禍による緊急事態宣言が収束した後には、当社が協賛する防災イベントが実現。地域のスポーツチームや自治体と連携した取り組みに当社社員も積極的に参加し、楽しく開催させていただいています。例えば2023年5月の「戸越銀座まちなか防災フェスティバル」の中で当社が実施した親子向けワークショップにご参加いただいたご家族からは、「家族と一緒にいないときの集合場所を決めよう」といった会話や「防災時に必要なもの」をメモするお子様の様子が見られるなど住民の防災意識を高めるきっかけにお役立ちできていると感じています。このようなイベントは回を重ねながら進化しており、最近ではイベント開催時に、平常時より多くのお客様が戸越銀座商店街を訪れるなどの明確な成果も見えてきています。
イベントを重ね、連携をする中で自治体や他の企業とのコラボレーションが実現。
今後も街の防災力向上と活性化を目指して、共に挑戦していきます。
戸越銀座商店街連合会の会長 山村さんは、7年前に当社の若手社員が地域貢献への熱い想いを胸に訪れた当時を思い返し、「2016年にパナソニック ホームズさんから初めて声をかけていただいたときは、ハウスメーカーであることは知っていましたが、私たちと共に何かを行うことは想像できていませんでした。」とおっしゃいます。しかし、商店街だけでは運営が難しかった防災イベントを共に実施したいという当社の提案を受けて、取り組みを少しずつスタートしてくださいました。
「現在では、消防署や役所も巻き込んだ新たな形でのイベントが実現しています。地域の防災意識の向上につながったことに加え、地域が一体となってバックアップしていることが感じられ、大変感激しました。この取り組みは7年間で広がり、パナソニック ホームズさんとの取り組みをきっかけに、今では他の企業さんとのコラボレーションも実現しています。企業の力をお借りして、地域の課題に対して柔軟に対応することで、自治体からも信頼を得ることができ、更なる連携も図りやすくなっています。」と評価いただいています。今年で関東大震災から100年経ちますが、山村さんは「関東大震災によって甚大な被害を受けた銀座の街からレンガを持ち帰り、それを道に敷き詰め道路の水はけを改善したことに由来し、戸越銀座商店街は“銀座”の名を掲げることになりました。そうした歴史や災害に備えて積み重ねてきた経験を忘れずに、地域の安全と利便性の向上、商店街をはじめ街の活性化を目指して、引き続きパナソニック ホームズさんと取り組みを続けていきたいと思っています。」と語ってくださいます。不燃化特区という地域に着目し、災害に強い街づくりのために取り組む当社と地域に愛される商店街として共に安全な街づくりを行うパートナーとして今後も、商店街の皆さまと共に地域防災に向けたイベントを通じ、戸越地区の住民の皆さまの更なる防災意識の向上を図っていきたいと考えています。
それぞれの地域の課題を見つめ、一つひとつお役立ちすることで、家づくり・街づくりのプロとしての人材育成にもつながっています。
SDGsのゴール11「持続可能なまちづくりを」に象徴されるように、私たちは街づくりのプロとして住まいを通じて持続可能な社会への貢献が求められていると考えています。
今回ご紹介した東京支社の戸越銀座商店街との連携では、地域への防災に関する啓発活動を通じて、私たちが「防災」に真剣に取り組む会社であることを住民の皆さまに広く知っていただくきっかけになったのではないでしょうか。また、地域住民のみなさまの「くらしのお困りごと」をより深く理解し、気軽にご相談いただける身近な存在でいられるように、今年7月には期間限定ではありますが『住まいのよろず相談所』を商店街の一角にオープンしました。品川区では不燃化特区の助成金制度が手厚く、建て替え時などに補助を受けられますが、訪れるお客様の中にはそのことを知らない方もいらっしゃいます。そのようなお客様には、パネルなどをを使って詳しく説明し災害対策のきっかけになるような情報をお知らせさせていただいています。
これまでの展示場を中心としたスタイルの営業活動から、これからは私たちが出向き様々なステークホルダーのみなさまと協力して各地域の課題に向き合う中で、個々のお客様と「出会う」というスタイルに転換していくことが、私たちハウスメーカーに求められていることだと考えています。地域に密着して市場をよく理解すること、そして同じ目標のもとに協働する関係者を増やしていくことで、地域との関係性を深めていき、くらしのエキスパートとして頼りにされる存在になりたいと考えています。これからも私たちは、防災情報の提供や家づくりの楽しさを通じて、災害に強い家を増やすことで街の防災力向上につなげていけるよう、「持続可能な街づくり」の実現を目指してまいります。そのために、全社一丸となってより良い営業活動を模索し、お客様のニーズに合ったサービスの提供に努めていきたいと考えています。