住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第11回『もっと自分にあった住宅物件を探す為の「購入条件の幅出し」術』
プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏
講師
プリンシプル住まい総研所長 : 上野 典行 氏
人生最大の買い物であるのが「家」です。
どう頑張っても希望する条件通り100点満点の家を探し出す事が出来なかった・・・と言うのは、よくある話です。
そこで今回は、自分に合った住宅物件を探す為の「購入条件の幅出し術」を解説します。
都心ほど住宅物件価格は高くなり、郊外ほど安くなります。これは、何も首都圏に限った事ではありません。駅近物件ほど土地価格が高く、通勤時間を長くする事で予算内での購入を検討する人は多いものです。「もう30分だけ電車通勤を頑張れば、住宅が買えるのよ」と郊外に購入した結果、将来、子供達が通学や進学する時に不便な立地となってしまう事もあります。
こうした際「中古を買って、中古リフォームしよう」と考えると、より便利な場所で見つける事が出来ます。
何とか予算内で物件を見つけても、「ちょっと狭いな」と感じる事もあります。そんな時は、戸建てであれば、敷地内に倉庫を置くことも有効です。押し入れなどの収納は、それだけ敷地面積を専有しますが、床下や天井等に倉庫を造る事で、居住面積を確保する事も可能です。押し入れは、最近では壊してしまい、「見せる収納」としてクローゼット化してしまうという手もあります。好きな洋服は、そのままでもインテリアの1つになります。また、トイレや風呂釜は、コンパクトな最新型商品も開発されています。
この様に、今ある間取りを前提に考えるだけでなく、それを中古リフォームしていくという方法も考えてみましょう。
また、「今は子供が小さいから良いけど、将来どうかなぁ?」と先々の事を考えると、住宅購入に踏み切れない方もいます。予算内で、将来に渡ってベストな選択が出来れば良いのですが、それが難しい事もあります。
そんな時は、「将来のリフォーム」を想定するのも良いでしょう。子供が、7歳~20歳の間は、子供部屋を広めに確保しつつ、巣立った後は、世帯主の書斎等に改造する等と考えるのです。最初から、子供部屋も書斎も欲しいとなると、どうしても満足の行く物件に巡り合えません。ご自身のライフスタイルの変化に合わせて、将来の中古リフォームも計画されてはいかがでしょうか。
さて、「絶対に新築」「通勤は30分以内」「駅から徒歩5分以内」「3LDK」等と、ご自身の希望条件で探すと、予算を超えてしまう事が多くなります。こうした先入観は、なかなか諦めが付かず、特に、ご夫婦で見解が違うと喧嘩になってしまう事もあります。
こうした条件を、YES/NOで考えるよりも、少しずらして考えるという方法があります。これが幅出しと言われる方法です。
「新築でないなら中古」「通勤30分でないなら1時間以内」「3LDKでないなら2LDK」と単純にYESかNOかで考えるのではなく、少し幅を持たせられないか?と考えてみましょう。
例えば、「絶対新築」と思っていたけど「築2年では、何がまずいのか?」と幅を拡げてみる。「築5年でも、そんなに見劣りしない」事もありますし、「築20年でも、フルリフォームならば大差が無い」と気が付きます。「新築」か「中古」というYES/NOの選択ではなく、幅を持たせて考えるのです。
この様に考えれば、「通勤30分」と「通勤35分」の違いは、それほどでは無い事が分かります。
「駅から徒歩10分」の物件も、「駅からバス10分」の物件も、実は通勤所要時間は、バスの発着回数によっては大差はありません。むしろ雨の日は、濡れない等と便利である事にも気が付きます。3LDKで、なかなか希望の中古住宅物件が無くても、4DKや2LDK+Sなどの様々な間取りの選択肢があります。
マンションの場合、階数へのこだわりに幅を持たせても良いでしょう。タワーマンションの1階などは、意外と売れ残っているケースもあります。眺望が良いのはステキな事ですが、これも30階と29階では大差が無いと幅を出して考えると、いっその事、1階に住み最上階で時々ランチをすれば良いのかも知れません。
物件探しは、いわば先入観との闘いでもあります。そして、譲った条件の中には、「その人らしさ」「大切にしたい事」が隠れているものです。ご家族で話し合い、楽しみながら中古住宅物件を探して行きましょう。
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。
「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。
「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。