住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第8回『「高く早く売るには」リフォームして売るか、プランを付けて売るか?』
プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏
講師
プリンシプル住まい総研所長 : 上野 典行 氏
少しでも高く早く売りたいと思うのが中古住宅物件です。しかし、物件の築年が古いとそのままでは競争力が有りません。そこで、物件の魅力を上げる為に、中古リフォームをして売るという手段があります。
しかし、そこには落とし穴もあるのです。では、どの様にしたら良いのでしょうか?今回は、そのポイントについて解説したいと思います。
第6章の『物件の資産価値は、どう決まるのか?新築住宅と中古住宅の価格の下がり方』で説明させて頂きましたが、住宅物件の資産価値は、経年毎に右肩下がりで減って行きます。下記の図は再掲となりますが、築20年ほどで、建物そのものの価値は無くなってしまい、土地の価値だけが残る事を暗に示しています。
物件の建物が古くなる事で、他の物件との競争力が落ちてしまい、高く売りたくても、なかなか売れなくなるのです。そこで、見劣りする築古の物件を中古リフォームして、ピカピカにしてから売るという会社も存在します。
先程の様に、中古物件を買い取って、中古リフォームして高く売るという会社が、いくつか存在すると言いました。売主にとっては「早く売れる」というメリットは有りますが、注意しないといけない点としては、中古リフォームして高く売るのは不動産会社ですから、売り手にとっては、売買価格が高く設定出来た分だけ、必ずしも得られるお金が増えるという訳ではありません。
では、売り手自らが中古リフォームをして売るという方法はどうでしょうか?
この場合は、「中古リフォームをする」為の先行投資が必要です。そして、その投資以上の売却益が出なければ損をします。このリスクを個人が被るのは、なかなか難しいものです。例えば、売り手が「フローリングの床を、白色にして清潔感をアップして、水周りを入れ換えて高く売ろう」と考えて、中古リフォームを実施したとしても、買い手が「床は白色じゃない方が良いな、水周りはもっと広いシンクがあるキッチンが良かった」と思えば売れませんし、売れなければ、単に過剰投資しただけとなってしまいます。
中古住宅は、古いままでは、なかなか高く売れません。そこで、リフォームをすれば高く売れるかもしれませんが、注意しないといけない点としては、そのリフォームの目指す方向性が、買い手の希望と一致していないと、売れないというリスクが残ってしまうという事です。
古いままでは、なかなか高く売れない。
リフォームをすれば高く売れるかもしれない。
けれど、そのリフォームの方向性が、買い手が希望していないと、売れないというリスクがある。
そこで、手持ちの中古住宅物件に、様々な中古リフォームプランとそのプラン毎に予算を示しておき、契約に至った中古リフォームだけを実施する事によって、過剰投資のリスクを無くするという方法があります。
これなら、一見、見映えが悪い中古住宅物件であっても、「○○○万円と手間を掛ければ、見違える様に変わる」となれば、買い手の興味を惹きます。しかも、中古リフォームプランを付けるだけですから、先行投資のリスクはありません。このプランにも、松竹梅といった具合に、いくつかのバリエーションを持たせれば、様々なニーズに応える事が出来ます。
例えば、この様なケースが想定できます。
■新築ならば、市場価格6,000万はするエリアの物件
買い手「それは高いなぁ」
■しかし、中古住宅ならば800万の物件もある
買い手「そうは言うけど、それは築古なので魅力的でないなぁ」
■では、クロスの張り替えと、お風呂・キッチン・洗面を入れ換えると
(物件価格)800万円+(リフォーム価格)約351万円=(合計)約1,151万円
買い手「約1,151万円なら買えそうだなぁ」
■さらに、和室を洋室に、DKをLDKに間取り変更の中古リフォームを施すと
(物件価格)800万円+(リフォーム価格)約1,471万円=(合計)約2,271万円
買い手「約2,271万円で、新築よりも希望の間取りに出来るんだ!」
といった具合に、買い手はワクワクした気持ちになれるのです。
それでは下記に、これまで説明した中古住宅物件の3種類の売り方について、メリット・デメリットをまとめました。
こうして改めて比較して見ますと、中古住宅物件を売る際には、リフォームプラン付きで買い主を探す方が、最も合理的である事が分かるのではないでしょうか。
リアリエでは、中古住宅物件の売買に関して、売り主に対しては、出来るだけ早く高く売れる様に、中古リフォームプラン付きでの物件提案を進めています。買い主に対しては、希望する中古リフォームプラン付き物件を、そのエリアで同様の新築物件相場よりも安くなる様な提案を進めています。まずは、サイトをご覧になって頂けたらと思います。
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。
「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。
「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。