住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第16回『購入時に掛かる諸経費の秘密』
プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏
講師
プリンシプル住まい総研所長 : 上野 典行 氏
不動産物件を買う時は、不動産物件サイトに掲載されている価格だけを気にしがちですが、それだけでは十分ではありません。ありがちなのは、出せる予算範囲の上限金額で不動産物件を探していると、いざ契約時にお金が足りなくなる事がしばしばあります。それは、物件価格以外にも様々な経費が掛かるという事を忘れてしまっているからです。
そこで、今回は、物件の購入時に掛かる諸経費について説明しましょう。
不動産物件購入時には、不動産物件を実際に購入する費用以外に、10~20万円ぐらい税金が掛かります。固定資産税/登録免許税/不動産取得税/印紙税などです。税金を払わない訳にはいきませんので、この経費は必ず必要であると認識してください。
また、不動産物件購入時には、登録手続きをする必要があり、その手続きをする司法書士の報酬も発生します。
不動産物件の購入時に、現金で全額を支払う人は稀ですから、ほとんどの人は、住宅ローンを組む事になります。この住宅ローンを借りるためには、融資手数料や保証料が5~50万円ぐらい掛かります。そして、死亡してしまうと住宅ローンの支払いが滞ってしまうため、団体信用生命保険(※団信)に入る必要があります。この契約時に、保険料として5~10万円ぐらい掛かります。そして、住宅ローン締結の条件として、火災保険に入る事が義務付けられているケースがあり、その場合、火災保険料と地震保険料などが最初に20万円ほど掛かります。これらを見ても、かなり諸費用が掛かる事が分かりますね。
以上は、住宅ローンをどこで借りるのか、どんな保険に入るのかなどで変動しますが、物件価格の3%ぐらいは掛かると想定するのが普通です。
「なんだ3%か」と思うもしれませんが、物件価格5000万円で3%とすると150万円も掛かる事になります。しかもこれは、住宅ローンで借りる事が出来ませんので、現金で用意する必要があります。「頭金1000万円で、4000万円借りて・・・」と計算する際に、「それとは別に、現金で150万円が必要」という事を理解して準備しておく必要があります。
中古物件を購入した方がリーズナブルな事は、これまでも、このコラム記事でも述べてきました。この時、気を付けるべき事は、中古物件の購入には、仲介手数料が掛かるという点です。
仲介手数料は、取引金額が400万円超の場合は、「取引金額×3%+6万円」以内と決まっており、さらに消費税が掛かります。たとえば、3000万円の中古物件の場合は、消費税が8%であれば103万6800円の仲介手数料が上限金額となります。消費税10%への増税後は、105万6000円の仲介手数料が上限金額となります。
この仲介手数料は、物件の売却時にも掛かります。従って、手持ちの物件を売却して、新たに中古物件を買うと、上記のほぼ倍の金額が掛かる事になります。
新築で6000万円の相場のエリアでは、中古では3000万円ぐらいからの中古物件があります。この場合、1000万円ぐらい掛けてリフォームしても、かなりお得に買えるという事を、これまで述べてきました。この時にも、中古物件購入に特有の仲介手数料が発生します。仲介手数料やリフォーム代には、消費税も掛かります。これらの仲介手数料を加味しても、総額では、かなり割安なのです。
さて、中古物件を購入して、中古リフォームを行う場合、どれぐらいの修繕費用が必要かは、一般の人には分かりません。そのまま古い物件に住むのではなく、自分らしい生活が出来る様にリフォームをするには、どのくらいの経費が掛かるのかを、第三者に提案してもらえると比較検討しやすいでしょう。
「100万円の予算であれば、ここまで直せる。」、「300万円なら、この程度まで直せる。」、「希望を全て満たすならば、1000万円の予算になる。」など、バラエティに富んだ提案があれば、選択するのも楽しくなるでしょう。
さて、中古物件を購入する場合も、新築を購入する場合も、すぐに希望する物件に住めない、というケースがあります。前者ではリフォームをするならば、そのリフォーム施工の期間は待たねばならないかも知れませんし、後者であれば住宅が完成するまでは住めません。この間、賃貸住宅に住んでいるのであれば、家賃を払い続ける事になります。
すなわち、完成までの工期が、ひとつのコストとなるのです。工期が3ヶ月で済めば3ヶ月分の家賃が必要となり、1ヶ月で済めば1ヶ月分の家賃が必要となります。この様に考えると、入居まで期間の長い新築物件の購入時には、その間の家賃を必要なコストとして考えると良いでしょう。
そして更には、新居への引っ越し費用が掛かります。家具など荷物の量などにも依りますが、むしろ引っ越し先までの移動距離が影響するそうです。トラック1台出すとなると、そのトラックを引越し日数分だけ確保するコストが大きく、そこに詰める荷物の量の差は、それほど大きなコスト差とはならない様です。簡単に見積もりが出来るサイトがあるので、見積りサイトを利用するのも良いでしょう。引っ越し代として、100万円ぐらいの用意があると安心です。
窓の大きさに合ったカーテン、新しい住まいに合わせた家具、せっかく壁紙を貼り替えたのでリビングに似合う照明なども必要でしょう。エアコン付きの賃貸住宅に住んでいた人は、エアコンの新規購入が必要です。せっかくだから、温水洗浄機付き便座も入れたい・・・と考えて行くと、結構お金が掛かります。
「中古を買ってリフォームする」いわゆる中古リフォームには、こうした設備の投資コストも、あらかじめ見積りに入れると良いでしょう。古い設備の撤去費用など、様々なコストについても、あらかじめ見積りに入っていれば安心です。
この様に考えると、中古物件に何も手を付けずに購入するという事は、案外と少ないのではないでしょうか? 通常は、以前の持ち主がエアコンや照明器具を、次の住まいに持って行ってしまい、中古物件には、それらが付いていないケースが多いものです。そうなると、エアコンや照明器具だけ新品を入れて、壁紙や床は古いままというのは、とても違和感があります。やはり中古を買う時はリフォームも視野に入れて、中古リフォームトータルでのコストメリットを計算しておく事が大切です。
「中古を買ってリフォームする」事は、これからの時代の潮流です。既存物件の中から良い立地と良い物件を選び、自分らしさにこだわった中古リフォームを検討し、トータルでコストメリットを引き出して、より良い生活をしていきましょう。
※団体信用生命保険料(団信)
「リアリエ住まいセミナー」記事にも説明がございますので、ご参照ください。
「リアリエ住まいセミナー」第1章『賃貸 vs 購入』
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。
「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。
「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。