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住宅情報誌・元編集長の本音トーク

第15回『遠い田舎で暮らす親。譲り受ける家。どうする?高齢社会での実家問題。』

プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏

この記事を読むとわかること
いつか譲り受ける田舎の実家、どうすればいいのか?
家を放置、「空き家」が引き起こす問題とは
親が亡くなる前に考えておきたい、近くに住み替えてもらう「近居」という選択肢
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『遠い田舎で暮らす親。譲り受ける家。どうする?高齢社会での実家問題。』

講師
プリンシプル住まい総研所長 : 上野 典行 氏

人口の首都圏一極集中が続いています。
首都圏だけでなく大阪・名古屋、あるいは県庁所在地などに人口が集中する一方で、
全国各地の郊外では、空き家が社会的な問題となっています。
「故郷で暮らす親に、もしもの事があった時、あの家はどうしたら良いのか?」
今回は、田舎にある家をどうすべきか?いわゆる「実家問題」について、論じてみたいと思います。

上野 典行 氏

いざという時の、「介護」「家」を考える。

 「年老いた両親は遠い故郷に暮らし、自分は都会で仕事をしている。」そういう方は多くいらっしゃいます。現在の仕事や、子供達の学校の事を考えると、故郷にUターンをするのは、そう簡単ではありません。

 特に心配なのは、田舎で暮らす両親についてです。毎年毎年、老けて行き、足腰は悪くなり、視界も聴覚も老いとともに悪くなります。もしもの時にどうやって介護や援助を行えば良いのかと考えると不安がよぎりますが、それ以上は深く考えず、またひとつ歳を取ります。

 昨今は、高齢者による自動車事故も深刻なニュースとして報道されます。しかし、田舎では車がないと買い物も通院もままなりません。どうしたものかと悩みは増えて行きます。

 そして、いざ大往生を遂げたとなれば、さあ、お墓はどうしようか? 地元の風習も知らない都会人の子ども達は、あたふたしてしまいます。そして残された家を、誰が相続して、どうやって管理して行くのか? 都会での日々の暮らしは、今後も続きますが、これらの問題は待ったなしですから、考えておかなければいけません。

田舎の空き家が、犯罪などの温床に?

 こうした状況の中、全国で増え続けているのが「空き家」です。「愛着のある実家は、売りたくない」、あるいは「売ろうと思っても、さっぱり売れない」といったケースから、そのまま放置されていくのです。全国で現在800万戸を超えると言われる空き家は、野村総合研究所の予測(2016年6月)によると、2033年には約2150万戸に達し、空き家率は30.2%にまで上昇するとまで言われています。

 こうした誰も住む事のない空き家は、例えば「中で動物が死んでいて、病原菌の発生地となっていた」、「台風で壊れて、近隣家屋を巻き込んだ」、「子ども達が入って遊んで、怪我をした」、「老朽化した家屋から、漏電により火災を引き起こして惨事となった」等という事も起こり得ます。

 また、知らないうちに不審人物が出入りをして、「大麻を栽培していた」、「オレオレ詐欺の受け取り場所になっていた」、「テロ活動の拠点になっていた」等という事もあり得ます。

人が住まないと、建物は傷む。

 この問題に対して対策すべく、国も2015年5月に「空き家対策特別措置法」を施行しました。景観を損ね、倒壊の危険がある空き家は、住宅向けの固定資産税軽減対象から除外されるようになったのです。これまでは、そのまま放置しておけば、「住宅があるから」という事で固定資産税が1/6程度で済んでいたのですが、それではちっとも空き家が減りません。そこで、あまりに古い家には、6倍の固定資産税を請求するという対策内容なのです。最悪の場合、市区町村が強制撤去後、空き家の所有者へ撤去費用を請求できるという仕組みも含んでいます。

 そもそも家というのは、風を入れ替えたり、ドアを開け閉めしたりする事が大切です。長く放置し続けるとカビ臭くなり、室内に籠った空気によって、ますます建物は劣化します。

 その家には、もう「住まない」と決めるのであれば、「売る」「貸す」などの資産運用をお薦めします。持っているだけで固定資産税が掛かりますし、今後も相続税が掛かります。大切な資産を現金に換えて、今のお住まいのリフォーム資金にしても良いのではないでしょうか?

 その家を地域の方に売るなり貸すなりして、住んでもらうと建物も息を吹き返します。人が住む事で、家は活力を取り戻し、明かりを灯す事で笑い声やぬくもりを呼び戻す事ができます。

 どうしても「買い手が現れない」、「借り手が付かない」という時は、空き家の見回りサービス等を利用して、空気の入れ替えや内部の確認を外注すると良いでしょう。見回りサービスによって「特定空き家」に指定されないようにする事で、固定資産税軽減対象であり続け、犯罪や災害の原因にしないためにも効果的だと思います。

亡くなる前に考えたい「近居」。

 さて、田舎に住むご両親が亡くなる前に一度考えてみたいのは、都心近くに住み替えてもらうという「近居」です。

 同居は何かと気苦労が多いものですが、そうは言っても新幹線で4時間といった距離ではさすがに心配が多いものです。同じ沿線のマンション等に住み替えてもらえば、利便性も高く、病院も近く、買い物や通院にも便利です。

 考えてみれば、昨今の高齢者の運転免許更新に関する問題も、第二世代の住居近くに住み替える事を対策とすると、運転免許を返納しても、買い物や通院も車を運転せずに済むかも知れません。

 「先祖代々の大切な資産を売るなんて」と思われるかも知れませんが、実は、第二世代が住まずに空き家にするのなら同じ事です。空き家を売るなり、貸すなりして、地域の方々に活用していただき、自分達は近居でかわいい孫たちを、時々見てもらえるような生活感は、新しいライフスタイルとして有効なのではないでしょうか?

 住み慣れた地元を離れるのは寂しいものです。しかし、子どもや孫の世代が暮らす都市部ならば、買い物も通院も便利ですし、運転免許もいらない生活が可能です。発想を切り替えて考え、豊かな人生設計を描いてみましょう。

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上野 典行(うえの のりゆき)氏

講師の経歴:上野 典行(うえの のりゆき)氏
プリンシプル住まい総研 所長

リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。
「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。
「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。

プリンシプル住まい総研

※プロフィールは、取材当時のものです。

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