家づくり、街づくりを通じて考えるSDGs

創業者 松下幸之助の想いは、
SDGsの取り組みの原点でもあると考えています。
パナソニック ホームズは、その想いを引継ぎ、
家づくり、街づくりを通して、
人々の豊かな暮らしを支えていきます。

公開日:2025/08/29

社内外リレーションシップで環境問題へ立ち向かう。

【調達部による環境保全の取り組み】

●左から:
パナソニック ホームズ(株)調達部 つくば調達課 重松 健太
有限会社YSKサポート 専務取締役 古庄 一将さん

※記事に掲載の役職名、商品・サービスについての内容は公開時点の情報になります。

関連するSDGs

  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう

パナソニック ホームズでは、2050年「カーボンニュートラル」実現を目指して
CO2排出量の削減に取り組んでいます。

環境問題が深刻化する中、2020年10月に政府は気候変動の要因の一つとされているCO2をはじめとした温室効果ガスの排出を、2050年までに全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。パナソニック ホームズが属するPLT(プライム ライフ テクノロジーズ)グループでも、2050年カーボンニュートラル実現を宣言すると共に、各事業での目標や方針を設定しています。

中でも、事業を行う過程で排出されるすべての温室効果ガスの総量である「サプライチェーン排出量」における、「Scope3(間接排出・事業者の活動に関連する他社の排出)」への対応は、自社だけでなく協業先の協力も欠かせないため非常に難しく、長期的な取り組みが必要です。今回は、当社事業に必要な部材や製品を調達する「調達部」の、Scope3に関わるCO2排出量削減の取り組みをご紹介します。

サプライチェーン排出量の区分を示した図
●カーボンニュートラル実現に向けた家づくり、街づくり

養生材やビニールシートのリサイクルを協業先企業と共に推進。
資源循環への取り組みが始まりました。

住まいづくりの現場では日々多くの資材が使われ、同時に多くの廃棄物も発生しています。これまで調達部では、環境負荷を抑えて製造された部材の採用や、資材の梱包方法の見直しなどを通じて、CO2排出量削減を推進してきました。その取り組みの一環として新たに、協業先企業と「資源循環」へのチャレンジを進めています。調達部の重松は、養生資材のレンタル事業を展開する有限会社YSKサポートと連携し、資源循環の取り組みを始めました。

「これまで混合廃棄物として捨てられていた養生材を見直し、YSKサポートのレンタル養生材を全社で取り扱えるようにしました。使用済み製品を返却できる仕組みが整うことで、産業廃棄物削減・CO2排出量の削減につながります」(重松)
同社は、レンタルだけでなくリサイクルも自社で行っており、汚れや傷が目立つ養生材は工場で再資源化しています。
「また、建築現場でよく使うブルーシートも、金属製のハトメがついていることで混合廃棄物として扱われており、再資源化が困難になっています。その問題もYSKサポートに相談し、同じ方法でリサイクルができないか一緒に検討させていただきました。様々な工夫を重ねてブルーシートもリサイクルが可能となり、製品の配送・回収スキームも共に構築していくことができました」(重松)

各拠点から回収された養生材を工場で再資源化
各拠点から回収された養生材はYSKサポートの工場で再資源化され、新たな養生材に生まれ変わる。
レンタルブルーシートをペレット化
レンタルブルーシートは回収してペレット化した後、再び製品化され建設現場で活用されている。

協業先であるYSKサポートの古庄さんは、当社との再資源化への取り組みについてこう語ります。
「ブルーシートのレンタルサービスやリサイクルは以前から構想していたものの、完全リサイクルには建築現場の方々の手間がかかってしまうため、なかなか進んでいませんでした。それを重松さんにご相談したところ、現場目線での解決策を考えて下さり、一緒に事業化の検討を進めることができました。結果的に施工現場のゴミも減り、大工職の方からの評判も良いと聞いています」(古庄さん)
「養生材やブルーシートは安価で大量購入できますが、処分まで考えると環境負荷はもちろん、処理費用もかかります。資源の有効活用が求められる現代では、資材のレンタルやリサイクルというのは値段以上の価値になってくると思います。こういった資源循環の仕組みは、私たちのような住宅メーカーが率先して取り組むべき社会課題だと思いますし、それをYSKサポートのようなパートナー企業の方々と取り組めているのは、私自身の仕事のやりがいにもなっています」(重松)

「ごみ」として処理されていたものを「資源」に換えるということは、大気や土壌・川や海を汚さないことにつながり、SDGsのゴールである「12.つくる責任 つかう責任」「14 海の豊かさを守ろう」にも関わる活動です。小さな一歩ではありますが、全国展開を行う住宅メーカーの当社だからこそ取り組むべき環境配慮だと考えています。

Column住まいづくりの現場での環境配慮の取り組み

●部材の梱包材の変更

部材の梱包を、従来のダンボールからビニールへ省梱包化した事例。袋の結び目が握り手になり運搬しやすく、現場の安全や省施工にもつながっています。

部材の梱包材をビニールへ省梱包化

●QRラベルによる効率的な廃棄物回収

当社は廃棄物処理法の「広域認定制度」を取得しており、物流部のトラックや取引先の運送業者に委託し、廃棄物を回収・処理しています。それらのごみを回収する際に課題となっていた、種類や数量を入力する手間を削減するため、回収袋にラベルを貼り付けるだけでごみの種別と数量を管理できるQRコードシステムを導入しています。

廃棄物の回収袋に貼り付けるQRラベル

●生産工場における環境配慮

  • 二次元コードで部材加工を管理
    各部材に二次元コードを付与し、データで連携・管理。機械での加工をスムーズに効率よく行い、エネルギーや廃棄物削減に貢献します。
  • 塗装を一度塗りで完了できる塗料に見直し
    部材の塗装に用いる塗料を見直し、下塗りをせずに一度塗りで完了できるものに変更。化学物質の排出削減につながります。
  • AIを用いて効率よくパーツを切り出し
    AIを用いて効率よくパーツを配置し、切り出しが行えるようになりました。廃棄物削減と共にコスト改善にもつながっています。

社内外の連携を強め、共存共栄をはかりながら環境問題に取り組んでいます。

調達部ではカーボンニュートラルの実現に向けて、様々な取り組みを通して購入先企業との連携・関係性構築を行っています。具体的な活動について、調達部 品質・企画課の三島に話をうかがいました。

パナソニック ホームズ(株)調達部 品質・企画課 課長 三島 淳
パナソニック ホームズ(株)調達部 品質・企画課 課長 三島 淳

「調達部としての基本の仕事は、必要な部材や製品を適正な品質・価格・納期で仕入れるというものですが、近年はここにカーボンニュートラルという観点が付与されました。購入先さまに対して我々の環境への方針を共有し、CO2排出量の削減に向けてゴールを目指して共存共栄していきたいと考えています」(三島)

そのための活動として、年に一度「購入先様方針説明会」を開催し、主要な購入先企業のみなさまに向けて当社の方針をお伝えする機会を設けています。また、アンケートなどを通じてCO2排出量の状況について定期的な把握を行っているほか、勉強会の開催・各社訪問を通じて意見交換するなど連携強化を図りながら、カーボンニュートラルが各購入先企業での重要取り組みとなるように働きかける活動も行っています。日常の調達業務でのコミュニケーションの際も、EPD商材に関する情報収集・ご提案の要望などもお伝えし、多角的な取り組みを進めています。
※EPD(Environmental Product Declaration)商材とは、製品のライフサイクル全体(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)における環境影響を評価し、第三者機関によって認証された製品のこと

当社の創業者・松下幸之助は「実践経営哲学(PHP研究所発行)」の中で、「ひとりその企業だけが栄えるというのでなく、その活動によって、社会もまた栄えていくということでなくてはならない」と、共存共栄への想いを語りました。これは、自然や地球環境、そして人間社会も共存共栄していくことが本来の姿であり、自社の企業活動そのものが社会のために良い行いをすべきだ、という意味が込められています。
その想いを受け継ぎ、今後もステークホルダーのみなさまとの強固な連携により、環境問題へのアクションを続けてまいります。

Column購入先企業とのリレーションを築き、
当社方針を共有する「購入先様説明会」

パナソニック ホームズ(株)調達部 圓句
購入先様に向けて「共存共栄」の精神を表明する、パナソニック ホームズ(株)調達部 圓句(会場:リーガロイヤルホテル大阪)

調達部では年に一度、主要な取り引き先となる約80社の企業のみなさまにお集まりいただき、「購入先様方針説明会」を開催しています。社長による全社方針、設計や生産・調達・物流部門を擁する家づくり事業部、および調達部の方針をお伝えしました。また、購入先企業の日ごろのご協力への感謝をお伝えすると共に、環境負荷削減に貢献する商材をご提案いただいた企業を表彰する当社独自の「ECO・VC賞」の授与などもあり、双方向の交流や社内外の連携をより強固にしていくための重要な場となっています。
本コラムでは、2025年に開催された「購入先様方針説明会」にご参加された企業の中で、「ECO・VC賞」を受賞されたトピー工業株式会社と、CO2リサイクル製造プロセスで「2024 年度グッドデザイン・ベスト100」に選出された神島化学工業株式会社のご関係者さまによるコメントを紹介します。

トピー工業株式会社: 製造過程でのCO2削減に寄与した専用部材の提供

トピー工業株式会社スチール事業部 営業部 形鋼営業室 中日本グループ グループ長 小川 宏彦さん、常務執行役員 スチール事業部長 野秋 明弘さん
●左から:トピー工業株式会社
スチール事業部 営業部 形鋼営業室 中日本グループ グループ長 小川 宏彦さん
常務執行役員 スチール事業部長 野秋 明弘さん

株式会社丸杉と協業し、パナソニック ホームズ向けに専用のH形鋼※1を開発しました。H形鋼の縦部分を中央で切断することでT形鋼※2に成形し、建造物の梁の接合部材に使用します。この製品の製造には電気炉を使用しており、従来の鉄鉱石を燃焼させる高炉を使用して製造していた部材と比較しても、接合部分の強度を充分に満たしながら製造過程でのCO2削減も実現しています。このような点を評価していただき、「ECO・VC賞」を受賞できたことはとても嬉しいです。
今はまだパナソニック ホームズからの受注に対応するだけの小ロットでの生産ですが、今後は販路を拡げ、開発した製造設備をこれまで以上に稼働させることで当社の生産体制を盤石にし、さらなる生産能力の向上と品質の安定化を目指していきたいと思っています。

断面がアルファベットの「H」の形をした鋼材で、主に建築や土木構造物に使用される重量鉄骨の一種
左がH形鋼。中央の縦部分(黄色〇の部分)を切断して、右のT型鋼(赤色〇の部材)を作る。

※1:H形鋼:断面がアルファベットの「H」の形をした鋼材で、主に建築や土木構造物に使用される重量鉄骨の一種。強度と耐久性に優れており、柱や梁、橋梁、杭など、幅広い用途で利用される。
※2:T形鋼:断面がアルファベットのT字型をした鋼材で、H形鋼を切断して作られることが多い。H形鋼よりも軽量で、建築や橋梁、トンネル工事などで、梁や柱、あるいは構造部材の一部として使用される。

トピー工業株式会社:6月2日付けニュースリリース
「スチール事業部がパナソニック ホームズ株式会社よりECO・VC賞を受賞」

神島化学工業株式会社:自社工場から排出されるCO2を原料の一部に使用した製品を展開

神島化学工業株式会社 住宅建材営業部 部長 須藤 益行さん
神島化学工業株式会社 住宅建材営業部 部長 須藤 益行さん

カーボンニュートラルの実現に向けて、弊社では様々な研究・活動を行っています。その一環として、自社工場から排出されるCO2を回収・炭酸化合物を生成し、原料の一部として利用する独自のプロセス『CO2 リサイクル製造プロセス』を開発しました。この取り組みは「2024 年度グッドデザイン・ベスト 100 (主催:公益財団法人日本デザイン振興会)」にも選出されています。
私がパナソニック ホームズにご提案したいのは「CO2固定化建材」による軒天井ボードです。図面データに沿って邸別プレカットされた軒天井ボードを、建築現場に当社から直接納入することができれば、物流による排ガス削減や省施工の実現・在庫スペースの解消・コスト削減など、環境貢献だけでなく幅広い事業課題にもご支援ができると考えています。

神島化学工業株式会社 公式YouTubeチャンネル:CO2 RECYCLE PRODUCTION SYSTEM

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