住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第1回【新築?中古?】【賃貸?購入?】【戸建?マンション?】
~無理のない、自分らしい住まい探しのコツ~ 第1章
プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏
(第1回目となる本シリーズは、第1章~第7章までの連載です。)
私が不動産・住宅の総合情報サイト『SUUMO』の編集をやっていた時、いくつか鉄板の記事が存在していました。その中の1つ、「住宅は、借りるのと買うのと、どっちが良いか?」について説明いたしましょう。
アンケートで、「あなたは、持ち家派ですか?賃貸派ですか?」と質問すると、8割の人が、「一生の事を考えたら、持ち家だよ」と答え、2割の人が、「家に縛られず自由に暮らしたいから、賃貸だよ」と答えます。やはり「持ち家が欲しい」という方は、多いのです。
■一生の住まいを考えるなら、持ち家派それとも賃貸派? 持ち家派?
【図1】
しかし、持ち家に住んでいる人の割合は、我が国では、ほとんど変わりません。1978年~2013年のデータを見てみますと、持ち家:約60%、賃貸:約40%と、ずっと変わっていないのです。
(図2参照)
■世帯の種類、所有の関係別普通世帯数(1978-2013年、住宅・土地統計調査)(割合)
【図2】
8割の人は「持ち家が良い」と思っているにも関わらず、色々な理由で、賃貸住宅を選んでいるのです。つまり、多くの人が「いずれは持ち家」と考えているという事です。
では、いつ家を買うのでしょうか?
■家計主の世代別、持ち家世帯率 (割合)(2013年、住宅・土地統計調査)
【図3】
データを見て見ますと、持ち家の比率は、30代で急に増え、40代で過半数の方が、買っています。
(図3参照)
これは、1つに、結婚というタイミングが理由として挙げられます。日本では、住宅を現金一括払いで買う人は、ほとんどおりませんので、住宅ローンを組みます。住宅ローンの返済期間は、最長で35年です。30歳でこのローンを組むと、65歳まで払い続ける事になります。早いタイミングで買えば、返済期間を長く取り、月々の返済金額を安くする事が可能です。
さて、住まい探しをする上で「買った方が得なのか?借りた方が得なのか?」という議論は、いつまでの総費用を比べるかによって、結果が異なります。あるタイミングで、ほぼ同額という数字となったとすれば、翌年からは「家賃を払い続けるよりは、買った方が得である」という結果になります。
(図4参照)
【図4】
賃貸派の方は、「いや、自分は50年も生きないから」と、考える事が出来るかもしれません。
実は、新築住宅・中古住宅を買う時は、保険に入ります。私が死んだら、以降の住宅ローンが返せなくなるので、「団信(団体信用生命保険)」という保険に入ります。「団信(団体信用生命保険)」に入ると、私が亡くなった時、タダで、残りの住宅ローンを払って貰えるのです。この事を考えると、買う方が得なのです。生命保険と同じくらい、家を買う事は、残される伴侶にとっては重要な事です。
当たり前といえば当たり前ですが、購入した方が良いから、大家さんは購入した賃貸住宅物件で、人から家賃を取るという、ビジネスが成り立つのです。
ただし、費用が「得なのか?損なのか?」という事が、人生の全てではありません。例えるならば、「AさんとBさんと、どっちと結婚した方が得か?」という話でしかなくて、好きな人と結婚した方が、断然、幸せです。つまり、家の費用よりも、そこで生活するライフスタイルが重要なのです。
(図5参照)
得かどうかより、価値観やライフスタイルの違い
■持ち家に住んでいる理由(持ち家居住者)
■賃貸に住んでいる理由(賃貸居住者)
持ち家に居住する方に「持ち家に住んでいる理由は、何ですか?」と聞くと、「家賃がもったいない」と答えます。他にも、釘やネジが打てるという理由があります。自分で家に対して色々な変更が出来るという理由があります。賃貸住宅よりも、良い材料や使い易い設備を使っているという理由があります。一戸建て住宅ならば、音漏れを気にしなくて済むという理由があります。
一方で、賃貸住宅に居住する方の理由として、「そんなお金は無い」という方がいます。他にも、海外旅行、車などにお金を掛けたいという方がいます。いつでも住替えが出来ます。好きな街に住めます。便利な地域に住めます。工場や会社に近い地域に住めます。仕事で転勤が多いという理由の方もいます。この様な理由で、賃貸住宅に住む方がいらっしゃいます。
いずれにしましても、住まい探しでは、そこで生活する上での価値観やライフスタイルを、大切にして頂ければと思います。
※ 本コラムは、2015年8月5日に横浜で開催されました【リアリエ住替えセミナー】での講演内容を元に、構成しました。
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。