2016年、不動産市場を大きく変える可能性のある法改正が行われたことをご存知でしょうか？

それは「宅地建物取引業法の一部を改正する法律」の可決・成立です。これにより、不動産取引の媒介契約締結時、重要事項説明時、売買契約締結時に宅建業者は、ホームインスペクション（住宅診断）に関する説明が義務付けられることになりました。

法律の施行は公布（2016年6月3日）から2年以内。国は中古住宅流通市場の活性化を図り、市場規模を13年の4兆円から25年には8兆円に倍増させる成果指標を掲げていて、この法改正はその一環といえます。

こうした状況を受けて、さくら事務所にもホームインスペクション（住宅診断）を依頼するユーザーが目に見えて増加しているのと同時に、住宅診断市場に新規参入する事業者も大きく増加傾向にあるようです。

ホームインスペクション（住宅診断）は中古住宅を購入する際に、「欠陥住宅ではないか？」「いつごろ、どこに、いくらくらいのお金がかかるのか？」「あと何年くらいもつのか？」といった一般的な不安を払拭することができるものです。今回はその担い手であるホームインスペクター（住宅診断士）を選ぶ際にチェックすべきポイントをご紹介していきます。

実績をチェック

中古住宅のコンディションはその構造や築年数、利用の仕方などに応じて建物の状態に大きなばらつきがあります。まずは、実際に診断をするホームインスペクター（住宅診断士）の経験や実績を確認してみましょう。これまでにどのような建物を、何物件程度診断してきたのか？率直にたずねてみることをお勧めします。木造、２×４（ツーバイフォー）、ＲＣ（鉄筋コンクリート）造など、建物には様々な工法がありますが、すべての工法に精通しているホームインスペクター（住宅診断士）はごくわずかです。あなたが診断してほしい建物の工法に精通しているかどうかを確認しましょう。

どんな資格を保有しているかが一定の判断材用にはなりますが、注意したいのは木造住宅に詳しいのは１級建築士ではなく、むしろ２級建築士であるということです。建築士の等級は建物の規模によって規定されるので、一般住宅のような小規模な建物は原則として２級建築士の領域。一般住宅に明るくないという１級建築士も珍しくありません。

コミュニケーション能力をチェック

どんなに高度な調査であっても、ホームインスペクション（住宅診断）を依頼したユーザーがその中身を理解できないのでは意味がありません。何か問題が発見された場合、それはどの程度のものか？ なぜそれが問題なのか？ どう対処すればいいのか？などについて、極力専門用語を使わず、分かりやすく説明できることがホームインスペクター（住宅診断士）の重要なスキルといえます。ホームインスペクション（住宅診断）後に報告書を渡されるだけでは、多くの場合不十分で、現場への同行を促すようなホームインスペクター（住宅診断士）が望ましいと言えます。

ホームインスペクター（住宅診断士）の立場をチェック

最後は、そのホームインスペクター（住宅診断士）に第三者性があるかどうかです。

例えば、リフォーム会社が自ら行うホームインスペクション（住宅診断）は、その後にリフォームの仕事を取りたいといった気持ちが調査結果に反映されてしまう可能性がゼロではありません。

とりわけ、無料で行われるホームインスペクション（住宅診断）は、なぜ無料なのかを考えてみてください。不動産会社からホームインスペクター（住宅診断士）を紹介された場合、そこにビジネス関係から生じる癒着はないか注意が必要です。裏でホームインスペクター（住宅診断士）から不動産会社へ紹介リベートが渡っているケースもあります。大切なのは、取引に利害関係のないホームインスペクター（住宅診断士）をご自身で選ぶことが大切です。