住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第2回【中古を買ってリフォームしよう】
第11章『リフォーム事例(継ぎ足された団地③)』
イン・ハウス建築計画:中西 ヒロツグ 氏
(第2回目となる本シリーズは、第12章までの連載です。)
このお宅をリフォームしたプランがこれです。
積極的に眺望を活かしましょうという事で、間仕切りを取り払って、レイアウトをすべて東西につながるようにしました。
一番の目的は、子供に目が行き届く事でしたので、出来るだけ遮る壁を無くし、どこに居ても、家全体が見渡せるよう、回遊性のある造りにしました。
予算が限られていて、全室リフォームするには厳しかったので、ゲストルームと納戸は手を付けていません。内装は貼り替えましたが、壁は壊さずそのまま利用しました。
玄関は、使われていなかった扉を玄関とし、以前の玄関扉は勝手口に利用しました。そうすることで、以前の様にいきなりリビングが見えない、独立したホールを設けました。さらに、勝手口から直接キッチンに入れる動線を確保しました。
壁に見えているのは造り付けの家具で、間仕切りを兼用しています。収納を兼ねることでスペースを節約しました。家具を仕切りにすると、両面を棚にすることができます。
天井まで届かない家具で仕切っているので、開放感を損なわず収納量も確保しています。納戸との間の構造壁は収納に利用し、この真ん中を机にして、二枚の引戸を動かすことで、収納壁を書斎モードと団らんモードで使い分けできる様にしました。引戸にはホワイトボードの素材を使い、メモや落書きが出来る様にしています。
マンションリフォームの場合、一度スケルトンにすることが多いですが、やはり築20~30年も経つと、配管が傷んでいることが多く、設備機器取り替えでも、給排水が流れなければダメです。そこで、配管の不具合を確認する為にも、一度スケルトンにして、点検する事が大切です。
天井がかなり低かったので、天井をはがし、構造のコンクリートにそのままペンキを塗って仕上げました。天井に埋め込み式の器具が付けられないので、両サイドから間接照明を付けています。
床は杉の無垢フローリングで仕上げています。杉は暖かく、足触りも柔らかいので床暖房の必要はありませんが、その反面、傷つきやすいので、建主様に了解の上、採用しました。キッチンも同じ杉材を3枚貼り合わせたパネルを採用しましたが、節のある安いものを使うことでコストを安く抑えました。
造り付けの棚については、全部新しく作るとお金が掛かってしまうので、お手持ちのキッチン収納をそのまま壁に嵌め込んで有効活用しました。既製品も上手く活用して建物と一体に見える様に作れば、かなりお得にリフォームすることが可能です。
奥さんの書斎は、家事スペース兼書斎で、柱型のデッドスペースを利用した鏡台収納を備えたスペースです。書斎の天板は、和室にあった座卓を再利用しました。
奥に見えているのが寝室です。寝室を家具で仕切り、引戸をひくと仕切ることができます。棚の上の空間はオープンなので、音は聞こえますが、子供の気配を感じたいという要望に対して、視線を遮ることで応えています。さらに、棚上の空間は照明器具を置いて、天井面を照らす間接照明を利用しています。
勝手口に利用したかつての玄関は、収納を考えて、独立したスペースに吊り戸棚やコートを掛けられる様にしました。
薄い鉄板の玄関扉は、冬場に結露が激しいので、断熱材を挟んだパネルをマグネットで取り付けました。パネルには、ホワイトボードの材料を使ったので、磁石もくっ付くし、文字も書ける機能的なアイデアに出来たと思っています。新しい玄関には、下足収納も作り、お客さんを迎えられる独立したスペースにしました
以前ユーティリティに置かれていた洗濯機は、ユニットバスを少し移動する事で洗面所を広くして、ここに置ける様にしました。カウンターや棚にはキッチンと同じ杉の3層パネルを使っています。(続く)
イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士
中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)さんのオフィス「イン・ハウス建築計画」はこちら
※プロフィールは、取材当時のものです。