住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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第1回【新築?中古?】【賃貸?購入?】【戸建?マンション?】
~無理のない、自分らしい住まい探しのコツ~ 第4章
プリンシプル住まい総研 所長:上野 典行 氏
(第1回目となる本シリーズは、第1章~第7章までの連載です。)
さて、続いては住まい探しをする上で住宅を選ぶなら、「新築なのか、中古なのか?」についてお話したいと思います。
日本人は、新築住宅が大好きです。「一国一城の主だから、城持ち大名になるのだ。」と、豊臣秀吉は言ってお城を建てました。
(図1参照)
一国一城の主。日本人は新築が好き。
ところが、ヨーロッパでは、中古住宅が当たり前です。こういう所に住んでいる人の方がエリートです。「えっ!新築住宅に住んでいるの?(残念)」と言います。築300年に住んでいる人の方が良いのです。これは文化の違いです。材質もレンガですし、地震も少ないですし、伝統的なモノが違います。
(図2参照)
ヨーロッパでは、中古が当たり前。
実は、新築住宅物件は、投資回収からみると、あまりお勧めではありません。なぜなら、買った瞬間に中古になるからです。「やった!新築住宅を買ったぞ!」「誰も座っていない新しい便器に座るぞ!」おっしゃる通りです。でもそれは、中古リフォームして、便器を取り替えれば、良いのです。
似ているのは、車です。車は、買った瞬間に中古になるので、大体3年で半額になります。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、新車を半額で買って、3年後に「返す」か、または「買い取る」かを決めるというリースシステムがあります。
(図3参照)
「新築」は、買った瞬間に「中古」になる。
中古車を買って、ずっと乗り続ける方もたくさんいます。中古車マーケットには、車がたくさんあります。「人が乗った車なんて、大丈夫?」と言うと、今の車は、品質保証が付くのです。翻って、住まい探しをしている人には、「買った瞬間に中古になりますよ、新築じゃないとダメですか?日本では、なぜ新築が良いのですか?」と疑問に思います。
例えばマンション物件で、考えてみたいと思います。
マンション物件の、平米単価60万円ぐらいのマンションでは、買った瞬間に中古になりますので、段々、価値が下がっていきます。
(図4参照)
マンションは築20年まで下がります。
その後は下がりません=土地の価値です。
築20年ぐらいまで経つと、上物(マンション建物)の価値が、ほぼ無くなります。土地はずっとそこにありますから、新土地(新たに生み出された土地)というモノは、無いです。土地は、以前、誰かのモノでした。その土地の価値は、長期的には、そんなに変わりません。結局、約20年で半分ぐらい(土地のみの価値)に下がってしまいます。
(図4参照)
最近、豊島区では、タワーマンションの中古物件が新築よりも高い、そんな事が起こっています。
考えてみますと、新築物件は買ってから、何年か経って売ろうと思っても、価値が半分にまで下がっていますから、この間に住宅ローンが半分しか返せていないと、ローン残高の方が多くなるのです。売ったけど、ローン完済できない、持ち出しになってしまうという事が起こり得ます。
ですから、投資の概念で行くと、住まいを新築を買うのは、経年と共に大きく価値が下がるので大変です。住まいを中古で買った場合は、このギャップは、少ないのです。そこまで、資産価値は下がりません。すでに下がってしまっているという事です。
(図5参照)
新築は売るに売れない。
新築で買って築16~20年で売ると売却価格は半額。ローンはまだ15年残っている。3000万の物件は1500万の価値に落ちるがローン残高は2000万近く残っている。
そうした事から、お金の価値で損か?得か?を考えると、新築の住まいは買った瞬間に中古になるので、実は、中古の住まいを買った方が得なのです。
一般的には、資産の半分は土地の価値になります。マンション物件の場合は、その土地を区分所有者で更に割る訳ですが、土地には、新土地(新たに生み出された土地)はありません。建物は、日本の場合、どんどん資産価値が下がる事になっています。木造だったら何年、鉄筋コンクリートだったら何年、と決まっています。価値は、いずれ無くなります。新築物件を買うと、それだけ物件の資産価値について、ダウンリスクを負うという事です。
(図6参照)
中古はこの資産価値のダウンリスクを
抑えることができます。
新築で買って築16~20年で売ると売却価格は半額。ローンはまだ15年残っている。3000万の物件は1500万の価値に落ちるが、ローン残高は2000万近く残っている。
しかし、築10年以上であれば、売却価格は6%程度しか落ちていない。
住まい探しをする上で、こうした資産価値のダウンリスクも視野に入れて、検討して頂ければと思います。
※ 本コラムは、2015年8月5日に横浜で開催されました【リアリエ住替えセミナー】での講演内容を元に、構成しました。
リクルートに入社後、採用の編集企画室、続いて新領域推進室にて新規事業に携わった後に住宅領域に異動。「住宅情報タウンズ編集長」「住宅情報マンションズ編集長」「SUUMO編集長」を経て独立。「プリンシプル住まい総研」設立。日本賃貸住宅管理協会 研修副委員長、全国賃貸住宅新聞等、連載中。
※プロフィールは、取材当時のものです。