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リアリエ住まいセミナー

第2回【中古を買ってリフォームしよう】

第6章『旧耐震住宅リフォームの難しさ』

イン・ハウス建築計画:中西 ヒロツグ 氏

(第2回目となる本シリーズは、第12章までの連載です。)

第6章『旧耐震住宅リフォームの難しさ』

写真①は、私がリフォームした物件ですが、構造が旧耐震の住宅で、コンクリートの基礎に鉄筋が入っていなかったため、これを補強するために、1階の床板を剥いで、新たにベタ基礎を施工する大がかりな工事をやりました。

基礎(1981年以前)

  • 無筋コンクリートの布基礎。1981年以前の建物に多い。写真は補強コンクリート基礎と土台を一体化して補強した様子

【写真①】

新設の基礎と、既存の土台を繋ぐために、特殊なZ型の金具を使って固定をしています。旧耐震の建物を補強するには、このような手間のかかる工事が必要になるので、どうしても費用が掛かります。

写真②は、耐力壁を写したものですが、35年~40年前の家には、筋交いが入っていても、厚みが15mm程度の非常に薄いものが多いので、あまり強度がありません。そのため、これを補強するには、筋交いを取り替えないといけません。

耐力壁(1981年以前)

  • 木摺下地壁。うすい筋かいが設置され、外壁はモルタルで仕上げされている。耐力がないわけではないが、耐震性能は低い

【写真②】

しかも、この筋交いに、ぽっかり穴が開いています。節にしては大きいので、「何だろうなぁ?」と思ったら、以前、電気屋さんがエアコン取り付けの際に、筋交いを切断して穴を開けたようのですが、案外こういう事例は少なくありません。エアコンを取り付けたい位置に、ちょうど筋交いが当たるのです。

そんな事は、住まい手の方は気付かないですし、電気屋さんもエアコンが納まる壁に取付けるので、筋交いの位置まで確かめずに穴をあけてしまうのです。それが結果的に耐震強度を弱めている事があるのです。

写真③は2000年以降の建物で、筋交い補強の様子です。筋交いのサイズは45㎜×90㎜で、端部を固定する金具も取り付けます。固定には特殊なビスで取り付けますが、そんなに難しい工事ではないので、さほど費用を掛けずに補強することが出来ます。

接合部(2000年以前)

  • 2000年の法改正以前は柱脚金物の取り付けは義務づけられていなかった。写真は新設した筋かいを金物で緊結した様子

【写真③】

写真④は断熱改修前の写真ですが、1981年以前の建物で、部屋が非常に寒いとおっしゃるので、内壁を剥がしてみると、案の定、断熱材がまったく入っておらず、無断熱の壁でした。

断熱(1981年以前)

  • 壁にまったく断熱材が充填されていない木造住宅。1981年以前の木造住宅に多く見受けられる

【写真④】

このような住宅では、内壁を壊して断熱材を充填しないと、いくら内装を綺麗にしてもなかなか快適にはなりません。表面だけでなく、壁の内部も改善しないと、結露やカビが発生するだけでなく、光熱費がすごく掛かる家になってしまいます。

ではここから、実際にリフォームしたお宅の事例をご説明します。(続く)

中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)氏

匠の紹介:中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)さん

イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士

中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)さんのオフィス「イン・ハウス建築計画」はこちら

※プロフィールは、取材当時のものです。

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